第T章:剣の世界の魔法使い
《魔法使い》の正体
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ね。基本的に、パッと見ただけではそうでしょう。実際、当たっています。しかし……100%ではない」
「100%ではない?」
「はい。……シェリーナは、この世界を創りだした茅場晶彦卿の職業は、なんだか知っていますか」
茅場晶彦の名前を出すか。シェリーナは現実世界では比較的世の中の事情に疎い方だった。彼はたしか、高校二年生の時に当時世界最弱だったゲーム会社《アーガス》に提供したゲームが大ヒットした功績で、高卒の後、大学に通いながら《アーガス》で働いていたという……ということを、キリトから聞いた。
「――――《科学者》、か、《ゲームデザイナー》、でしょうか」
「どちらも正解ですが、どちらも不正解です。茅場卿の本職は、《量子力学者》……それも、より正確には《量子脳力学者》」
「量子……脳……?」
量子、というのは物質の構成を説明する理論の一つだった気がする。詳しいことはあまりよく知らないが、キワモノ扱いされる分野であることは想像に難くない。
「かつて……二十世紀の終わりごろでしょうか。イギリスのとある学者が、人間の《魂》に関する理論を考え出しました」
「魂!?」
シェリーナは思わず叫んでいた。魂といえばおとぎ話の産物ではないか。そんなものを研究した人がいるとは……。
「……何かわかったんですか」
「ええ。人間の魂の構造について。しかし、当時の科学技術ではそれを解明することができず、結局うやむやになり、長いあいだそのジャンルに手は付けられてこなかった――――」
しかし、とドレイクが続ける。
「それに注目した存在達がいました。彼らは、本物の異世界を夢見て、人の魂――――《フラクトライト》と呼ばれるそれを求めた。……茅場卿について少し話しましょう」
――――茅場晶彦は、大学時代、真の天才しか立ち入ることを許されない研究室、《重村ラボ》の筆頭として活躍していた。メンバーは、茅場晶彦、須郷伸之、神代凜子、比嘉タケル。全員が東大最高と言われた頭脳の持ち主だった。茅場と須郷、二人はライバル同士で、それぞれ脳やフルダイブ技術に関する様々な研究を競うように行っていた。そんな中で、茅場は魂……フラクトライトに関する研究をも進めていたという。
だが、その研究にはすでに先達者がいた。その人の名は、浅木藍。茅場の一年先輩であり、重村ラボメンバーに最初にえらばれた女性。彼女はフラクトライトに関する研究を進め、当時すでにそれを読み取り、複製するレベルまで至っていたという。
「茅場卿は、浅木女史について詳しいことは知らなかったようです。茅場卿と、重村ラボの統率者である重村教授を除く残りのメンバーは彼女の存在すら知らなかった。茅場卿は、自分が後塵を拝しているとも知らずにフラクトライトに関する研究を進め、魂を読み取
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