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ソードアート・オンライン〜剣の世界の魔法使い〜
第T章:剣の世界の魔法使い
魔法使いVS地獄の王子
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、あの木の棒は、(スピア)ではなく――――

 
 (ロッド)だ。


「《フレイム・ランス》!!」

 ドレイクの杖が振るわれる。そこから、三本の炎の槍が飛び出し、PoHを貫いた。

「ごは!?」
「《フレイム・トーレンツ》」

 続けて振るわれた杖から、先ほどの倍以上の数の矢が飛び出す。それらは回避動作をとるPoHを追跡(ホーミング)し、その体を貫いた。

Bastard(この野郎)……なんだ、そいつは」
「《魔法》ですよ。あなた達が決して持ちえない」
「Suck……ユニークスキルって奴か?」
「さぁ?どうでしょうね……《ジャッジメントライツ》」

 瞬間、ドレイクの足元にこれまではなかった純白の《魔方陣》とでもいうべき存在が浮かび上がる。内側・中央・外側の三つの円で構成された、複雑な模様を描くそれが、ガシャン、と言う音を立てて、まるでパズルのように模様の形をそろえた。

 そして……魔方陣が弾け、純白の光が視界を塗りつぶす。

「ぬあぁああああ!?」

 PoHが悲鳴を上げる。

「こいつ、は……」
「《神聖属性ダメージ》です。教会で掛けてもらえるおまじないや、《神聖剣》の《聖なる一撃(ホーリースマイト)》などに代表される。本来はゴースト系モンスターに有効なダメージを与えるための属性ですが……隠し要素として、犯罪者(オレンジ)プレイヤーへ大ダメージを与える、という物があるんです」

 ドレイクの言葉どおり、PoHのHPは信じられないほど減って、今やレッドゾーンぎりぎりのところでイエローを保っている。

「Shit……覚えていやがれ。いつかてめーら全員、ぶっ殺してやる」

 瞬間、PoHの姿が消える。隠蔽スキルを使ったのだ、ということに気が付いたのは、簡易マップの端にオレンジ色の光点が消えた瞬間だった。

「やれやれ、逃げられてしまいましたか」

 はっとしてシェリーナは、ドレイクの方を見た。ドレイクは強大な力を発揮した魔法の杖(ウィザードロッド)を地面に突き立て、嘆息していた。


 ――――強い。


 シェリーナの胸中には、そればかりが渦巻いていた。

 強い。圧倒的だ。あのキリトですら、かつて戦った時には苦戦したPoHを、初撃も合わせてたった四発の魔法だけで退けたのだ。何という強さだろうか……。

「ふぅ。……大丈夫でしたか、シェリーナ。遅くなって本当に申し訳ありませんでした」
「いえ……!あの、ありがとうございました」
「いえいえ。……今頃王がひどくお怒りになっているでしょう」

 ドレイクは、自分を助けるために、ほとんど勝手に《エネマリア》を抜け出してきたに違いない。ドレイクが来てくれなければ、シェリーナは死んでいたか
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