第T章:剣の世界の魔法使い
オレンジ・プレイヤー
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るのに使わなかったんですか?」
「使ったけど無視された」
「……」
「あーもうっ!思い出したらまたイライラして来ちゃったじゃない!」
まぁまぁ、とシェリーナは彼女をなだめ、
「キリトさんがどの辺にいるのか見てみましょうよ。落ち着きますよ」
少し昔、シェリーナ自身が試した方法をアスナにも教えることにした。好きな人が、今、どこで何をしているのか……それを見ていると…少々危ないのは理解しているが…どこか落ち着いた、温かい気持ちになるのだ。
数日前のシェリーナなら、恋敵であるアスナにそんなことは教えなかったはずだ。けど、シェリーナは心のどこかで、もうすでにキリトの隣にはアスナがいるべきなのだ、と決めてしまっているのかもしれない……。
「うん……」
アスナはメニューウィンドウからフレンドリストを呼び出すと…恐らくではあるが…【Kirito】の名前をクリックし、【Search】を選択した。直後、もう一枚ウィンドウが開く。キリトの現在位置を示した簡易マップだ。シェリーナも同じ行動をとる。
マップに表示された光点の数は4。うち一つに【Kirito】のネームタグ。恐るべきスピードで第五十五層のフィールドを進んでいる。その後ろに追随する形で残り三つの光点。
「強いですねぇ、キリトさん」
「もうほとんど病気よね、あれ」
「はい」
シェリーナとアスナはクスリと笑いあう。なんだかアスナとキリトの事を話していると、うれしくなってくる気がする。
「……パーティーメンバーは、誰なんですか?」
「たぶん3人の中で一番前にいるのがゴドフリー。次がハルゲンっていうゴドフリーの部下で、もう1人が……」
その時、アスナが顔をゆがめた。なにか、嫌なものを思い出したような顔だった。
「もう1人が……?」
「……クラディール」
「――――っ!」
クラディール。
それは、先日キリトとアスナに絡んできた、アスナの元護衛プレイヤー。シェリーナとのデュエルに敗北し、ギラギラとした殺意を眼に浮かべて去って行った男。
「な、なんでまたそんな人を……誰がパーティーに同行させたんですか?」
「ゴドフリーよ。『これからは同じギルドのメンバーなんだから、過去の事は水に流すべきだ』って……」
「んな……」
そんな身勝手な。クラディールがキリトとシェリーナに抱いている憎悪は、恐らくこんな短い間で消えるものではないはずだ。シェリーナの中で、そのゴドフリーという人物の評価が下がった。
「それに……」
「まだあるんですか?」
「うん。ゴドフリーが『限りなく実践に近い方法で戦闘を行う』とか言って、結晶アイテムを全部巻き上げちゃったの」
「全部……!?て、転移結晶もですか?」
アス
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