第T章:剣の世界の魔法使い
《魔法》
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茅場卿は随分そういうところに凝っているようで、黒龍王は冬になると眠気が増すんですよ。普段から寝起きは悪いんですが、この時期になると下手をすれば昼になっても起きてきません」
「へぇ……」
なんだか厳格な上司のおちゃめな一面を見た部下の気持ちというのがわかった気がした。
「話がそれてしまいましたね。私が今、受け取ったローブをそのまま着たのは、ひとえにこれがないと落ち着かないからです。もちろん、生活に支障が出るとかそういうのではないんですが……私が持っている防具というのがこれしかないんですよ」
「え?」
「いや、ですから、私はこの魔導服以外に装備できる防具がないんです」
「え……えええええ!?」
装備できる防具が無い!?そんなことが有りえるのだろうか。シェリーナはその疑問をドレイクに話した。
「はい。ありえます。まぁ、普通はあり得ないことなんですが……私のユニークスキル《魔法》は、特定状況以外で鎧などを装備することができません。なので必然的に、防具はローブなどになってくるんです。この魔導服は、《魔法使い専用アイテム》とでも言ったところです。基本的には外の世界で流通している同種のアイテムと変わりないのですが、このローブには多少ですが魔力を増強させる効果がありまして。武器スキルが使えない私からすれば、《魔法》は唯一の攻撃スキル。非常に便利です」
「武器スキルが使えないんですか?」
本来ならば、それはあり得ないことだった。すべてのプレイヤーは、ログインしたその瞬間から戦闘の意欲がある/無しに関係なく、共通で基本スキル《片手剣》を所持する。このスキルは使用可能スキル欄から消去することはできず、シェリーナを含む全プレイヤーがこのスキルを使うことができる。それに、最低ランクの武器ですら、初期状態の筋力値があれば使えるのだ。実質、武器スキルが使えないということはありえない。
しかしドレイクはシェリーナの問いにひとつ小さくうなずくと、見てください、といってメニューウィンドウを開いた。ウィンドウは半透明の紫色で、シェリーナにはそこには何も書いていないように見える。しかしドレイクがメニューウィンドウの端に有るボタンを押すと、ウィンドウは《可視モード》となり、シェリーナにもその内容が見えるようになった。
様々な情報が書かれたメイン画面。右端には【Draak】というプレイヤーネーム。たしかオランダ語で『龍』を意味する言葉だったはずだ。その横にレベル。しかし、レベル表記はドレイクの手に隠れてよく見えない。HPゲージ、装備アイテム欄と続いて、スキル欄。一番最初は彼の誇るユニークスキル、【魔法】。その後に、【索敵】【隠蔽】などの戦闘系から、【料理】【焚き木
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