第T章:剣の世界の魔法使い
《魔法》
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
舗装され、現実世界の京都のような観光都市の、寺院などがあるあたりによく似ていた。太陽光が肌に良い感じに沁みこんで気持ちがいい。
道の先に、大きな洞窟が見えてくる。灰色の岩でできた洞窟は、子どもの頃社会科見学で行った鍾乳洞の様にも見えた。
シェリーナは恐る恐る、といった感じで、洞窟の中に足を踏み入れた。
洞窟の中は意外に暖かく、明るかった。明るい理由はすぐに分かった。洞窟の天井に中くらいの大きさの穴が開き、そこから光が降り注いでいるのだ。洞窟内部は思ったより狭かった。横穴とか洞穴、といった雰囲気が強い。そして、温かい理由は、この内部にいるシェリーナを除いた唯一の人物が、中心で薪をたいているからだ。
ドレイクだった。普段の赤銅色の魔導服は、現在シェリーナが持っているため着ていない。そのため、ドレイクが魔導服の下に着ている服を見ることができた。
ドレイクが来ていたのは、銀色の短衣だった。その下に長袖の白いシャツを合わせている。灰色の頭が、来訪者を感知して揺れる。ゆっくりと顔をあげたドレイクは、赤銅色の眼でシェリーナを捉えると、目を細めて微笑んだ。
「おはようございます、シェリーナ」
「お、おはようございます……あの、これ……ありがとうございました」
シェリーナはドレイクに赤銅色の魔導服を差し出す。ドレイクはそれを受け取ると、そのまま袖を通した。
「あの、ごめんなさい!寒かったですよね」
「いえいえ。私はこの洞窟で寝起きしているので、焚き木があります。なのでそこまで寒くはありません。けれどあの大広間は夜になるとこの時期かなり冷え込むんです。モンスターの皆さんは特に寒さとか気にしないので大丈夫なんですが、さすがにシェリーナをそのままにしておくわけにはいかずに。本当はどこか暖かい所に運ぶことができればよかったのですが、お恥ずかしいことに私の筋力値は非常に低いので……。さりとて、熟睡しているシェリーナさんを起こすわけにもいかず、モンスターの皆さんは一度寝たらなかなか起きないのを知っていますから」
まだ寝てたでしょう?とドレイクはいたずらっぽい笑みを浮かべ、赤銅色の眼でシェリーナを見た。
「はい。黒龍王さんまで」
シェリーナは黒龍王の熟睡姿を思い出してくすっと笑った。
「でしょう?あの人……いえ、あの龍は《エネマリア》で一番寝起きが悪いんですよ」
「へえ、そうなんですか!?」
「ええ。特にこの時期。古来伝承にもあるように、多くのドラゴンは寒さが苦手です。そのため、ドラゴンは冬眠をします。王は特殊な龍……というよりそもそも冬眠を必要としないモンスターなので、冬籠りをしたりとかはしないんですが……どうしてなかなか。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ