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ソードアート・オンライン〜剣の世界の魔法使い〜
第T章:剣の世界の魔法使い
《魔法》
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舗装され、現実世界の京都のような観光都市の、寺院などがあるあたりによく似ていた。太陽光が肌に良い感じに沁みこんで気持ちがいい。

 道の先に、大きな洞窟が見えてくる。灰色の岩でできた洞窟は、子どもの頃社会科見学で行った鍾乳洞の様にも見えた。

 シェリーナは恐る恐る、といった感じで、洞窟の中に足を踏み入れた。


 洞窟の中は意外に暖かく、明るかった。明るい理由はすぐに分かった。洞窟の天井に中くらいの大きさの穴が開き、そこから光が降り注いでいるのだ。洞窟内部は思ったより狭かった。横穴とか洞穴、といった雰囲気が強い。そして、温かい理由は、この内部にいるシェリーナを除いた唯一の人物が、中心で薪をたいているからだ。

 ドレイクだった。普段の赤銅色の魔導服(ウィザードローブ)は、現在シェリーナが持っているため着ていない。そのため、ドレイクが魔導服(ウィザードローブ)の下に着ている服を見ることができた。

 ドレイクが来ていたのは、銀色の短衣だった。その下に長袖の白いシャツを合わせている。灰色の頭が、来訪者を感知して揺れる。ゆっくりと顔をあげたドレイクは、赤銅色の眼でシェリーナを捉えると、目を細めて微笑んだ。

「おはようございます、シェリーナ」
「お、おはようございます……あの、これ……ありがとうございました」

 シェリーナはドレイクに赤銅色の魔導服(ウィザードローブ)を差し出す。ドレイクはそれを受け取ると、そのまま袖を通した。

「あの、ごめんなさい!寒かったですよね」
「いえいえ。私はこの洞窟で寝起きしているので、焚き木があります。なのでそこまで寒くはありません。けれどあの大広間は夜になるとこの時期かなり冷え込むんです。モンスターの皆さんは特に寒さとか気にしないので大丈夫なんですが、さすがにシェリーナをそのままにしておくわけにはいかずに。本当はどこか暖かい所に運ぶことができればよかったのですが、お恥ずかしいことに私の筋力値は非常に低いので……。さりとて、熟睡しているシェリーナさんを起こすわけにもいかず、モンスターの皆さんは一度寝たらなかなか起きないのを知っていますから」

 まだ寝てたでしょう?とドレイクはいたずらっぽい笑みを浮かべ、赤銅色の眼でシェリーナを見た。

「はい。黒龍王さんまで」

 シェリーナは黒龍王の熟睡姿を思い出してくすっと笑った。

「でしょう?あの人……いえ、あの龍は《エネマリア》で一番寝起きが悪いんですよ」
「へえ、そうなんですか!?」
「ええ。特にこの時期。古来伝承にもあるように、多くのドラゴンは寒さが苦手です。そのため、ドラゴンは冬眠をします。王は特殊な龍……というよりそもそも冬眠を必要としないモンスターなので、冬籠りをしたりとかはしないんですが……どうしてなかなか。
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