第T章:剣の世界の魔法使い
ユニークスキル
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お会いできるとうれしいですね……」
「……私も、同じこと考えてました」
ドレイクが漏らした言葉が、丁度自分が考えていた事と同じであったと知って、シェリーナはふっ、とほほ笑んで言葉を返す。
ドレイクが空を見上げる。アインクラッドの空は、次層の底で、天蓋の様におおわれているため、そこには星も、月も、昼でも太陽さえない。けれど、それでも《空》であることに変わりはない。眺めていれば落ち着く。
「……空が飛べるようになるユニークスキル、とかあれば面白いんですけどね」
「そうですねぇ。……飛んでみますか?」
「え……?」
驚愕の声を漏らしながら、シェリーナはドレイクを見た。ドレイクはニコニコ笑っている。
「《エネマリア》の中に、遠い階層から来た空が飛べるモンスターがいるんです。結構いい性格なので、仲良くなれば乗せてもらえるかもしれません。それと……」
ドレイクはちょっと苦笑めいた表情になると、
「《魔法》の中に、ほんの少しだけですが空を飛べるようになるものがあるんです。もっとこの系統の術式を学んでいれば、それこそ彼らの様に大空を自由に飛べるようになったのかもしれませんが……残念ながら私はそれをあきらめてしまいまして」
ははは、とドレイクが笑う。
「《魔法》といっても、みなさんが期待しているような万能なものではありません。それに、多くのものは当然ですが彼ら――――」
ドレイクは、酔いつぶれて眠っているモンスターたちを指さした。
「彼ら、モンスターたちの方が優れている。当然ですよね。もともと彼らのためにある能力だというのに……」
夜空を見上げる。シェリーナもつられて空を見上げた。雲だけが浮かんでいる。蓋とそれ以外は、何もない。
「……私は、その力の一端を借り受けているだけに過ぎない。どうしてこのスキルが、《魔法》が、私の、もとに来たのかすらわからないというのに、私はこの力を自分だけのものとしてふるっている……」
ドレイクは視線を下ろすと、今度は隣に座るシェリーナを見た。
「シェリーナ。どうしてこの世界には、《ユニークスキル》なんていうものがあるんでしょうか。『たった一人だけのもの』があるのでしょうか。誰にでも使えていいはずなのに。……実際にこのスキルの使い手である身からしてみれば、このスキルは私を狂わせるためのものでしかない。このスキルがあるから、私はこの世界でたった一人の《魔法使い》になった。けれどユニークスキルは、私からしてみれば戒めでしかない……」
キリトも……そう思っているのだろうか。《二刀流》は重し。なければ良かったと思っているのだろうか。
――――きっと、違う。
シェリーナは、なぜかそう思えた。かつてのキリトなら、《二刀流》をた
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