第T章:剣の世界の魔法使い
神聖剣VS二刀流(後編)
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
まず先に動いたのはキリトである。ソードスキルを使わず、二刀を恐るべきスピードで振るってヒースクリフに攻撃する。しかしヒースクリフは全く表情を動かすことなく、的確に左手の《神聖十字盾》を動かし、キリトの攻撃をはじいていく。
「どうしたのかねキリト君。こんなものかい?」
「それは……どうか、なっ!!」
キリトが弾かれた右手の黒い片手剣、《エリュシデータ》を肩に担ぐ。そして次の瞬間、《エリュシデータ》の漆黒の刀身を、真紅のエフェクトライトが包む。
「ヴォーパル……ストライクッ!!」
《片手剣》のスキル熟練度が950になった時に出現する、単発重突攻撃、《ヴォーパル・ストライク》。片手剣用単発ソードスキル最強を誇る、非常に使いやすいスキルだ。ソードスキルの中には、その威力に比例して、《スキルチャージ》時間を課せられる物が少なからず存在する。しかし、この《ヴォーパル・ストライク》は並みの片手剣スキルの二倍近くの威力・射程距離を誇るにもかかわらず、チャージ時間はほとんどない。もちろんディレイ時間は少しばかり長めだが、《ヴォーパル・ストライク》はその威力で相手との距離をあけられるため、大した問題ではない。本来は対モンスター用のソードスキルではあるが、乱用さえしなければ対人戦でも十分通じる強さである。その強さから、同系統のソードスキルが出現するのではと目されていたが、現在のところ《ヴォーパル》の名を冠するスキルは、シェリーナの知る限りこの技だけだ。
「ほぅ……やるじゃねぇかキリトの野郎」
「ええ。ソードスキルを使わないで戦い、ここぞという時に強攻撃をかける……さすがです」
コクライとシェリーナが口々に感想を述べる。
今回キリトとヒースクリフのデュエルで使われているルールは《半減決着》だ。どちらかのHPがイエローゾーンに陥ったその瞬間にデュエルは終了する。キリトとヒースクリフは、どちらも相当な実力者だ。レベルも両者ともに90を軽く超えているし…キリトのレベルは97、ヒースクリフのレベルは105とされている…どちらかの攻撃がクリーンヒットした瞬間に決着すると言っても過言ではないだろう。
吹き飛んだヒースクリフをめがけて、キリトのラッシュが始まる。二刀にピンク色に近い鮮やかなレッドのエフェクトがかかる。弾丸のように打ち出されたキリトが、旋回しながらヒースクリフに斬りつける。一撃……二撃。
《二刀流》二連撃ソードスキル、《ダブル・サーキュラー》。ヒースクリフの十字盾に激しいインパクトが発生し、わずかに聖騎士の体力が削られる。だが、赤衣の聖騎士は動じることはない。
「今度はこっちの番だよ」
「何っ……」
ヒースクリフの盾が、水平に構えられる。その先
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ