第T章:剣の世界の魔法使い
ヒースクリフ(前編)
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なわなとアスナの唇が動き、やっと小さく言葉が絞り出される。
「どうしよう、キリト君……大変なことに、なっちゃった……」
***
ギルド《血盟騎士団》……通称KoB。アインクラッド最強のギルドであるこのギルドを最強たらしめているのが、かのSAO最強のプレイヤー、《聖騎士》ヒースクリフだ。ユニークスキル《神聖剣》の所有者で、《神聖十字剣》《神聖十字盾》という名称の一対の専用装備をふるい、最前線を支える鉄壁の《紅き聖騎士》。《最強》《伝説の男》など、片手の指では数えきれない数の異名を持つ彼のHPは、ボスモンスターの猛攻を十分間たった一人で防ぎきっても安全圏をきらないのだ。
それは、アインクラッド第五十層攻略の折の事。多腕仏像型金属ボスモンスター《The-Astro-relief》との戦闘の時だ。もともと第二十五層のボスモンスターであった双頭の巨人、《The-doubleheaded-Auger》が二十五層攻略当時圧倒的な力をふるってプレイヤーを苦しめたため……《軍》が攻略組から抜けて戦力増強に走ったのも、この攻略で大打撃を受けたからである……25、50、75、100のクォーターポイントでは強大な力を持つフロアボスが出現するだろうと目されていた。しかし、この金属仏像はプレイヤーたちの想像の域をはるかに超えていた。千手観音を模したと思われる無数の腕からの多種多様な攻撃、目と口から放たれる怪光線、前座とは思えない守護モンスター、そして何より、恐ろしすぎる形相によってプレイヤーたちを殲滅していったのだ。ぎょろりとした目ににらまれ、ひるんで戦線を離脱する者が続出。このままでは全滅も免れない……。
その時に、金属仏像の攻撃を受け止めたのがヒースクリフだった。彼は圧倒的な防御力で多椀の連続攻撃をさばき続けた。その隙にキリトが攻撃を叩き込み、二人が必死に稼いだ時間の間に援軍が到着、ボスモンスターを倒すことに成功した。
あの時はまだシェリーナも攻略に参加していたため、絶望感と恐怖を覚えている。離脱していくプレイヤー達。減っていくHP。死ぬかもしれない。次の攻撃でみんな死んでしまうかもしれない。
『あきらめるな!!俺があいつを倒してみせる!!』
そんな絶望の中で、キリトがかけてくれた言葉を覚えている。頼もしかった。その宣言通り、キリトは《The-Astro-relief》にラストアタックを決めた。キリトが今使っている黒い魔剣、《エリュシデータ》はその時手に入れたものだった。
無数の犯罪者プレイヤーに囲まれたときも、希望を失わなかった。HPバーが残り一ドットになっても、生きること
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