第T章:剣の世界の魔法使い
ヒースクリフ(前編)
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
西洋の獣頭の悪魔などのモンスターはいまだ現れていなかった。今後、このような悪魔系モンスターが増えると予測されるらしい。
そのグリームアイズに、《軍》はたった12人で、しかも疲弊し切った状態で、ろくな休憩も戦法も取らないで挑みかかったらしい。結果は隊長を含める三人が死亡。ボス攻略で死者が出るのは六十二層以来だった。ほぼ壊滅状態の軍をすくうため、キリトはずっと隠し続けてきた《二刀流》の枷をといたという。
そこからはほとんどキリトの独断場。《二刀流》の驚異的なスピードで、たった一人でボスを打ち倒したという。キリトも危うく死にかけたらしいが……。
次の朝目覚めると、どうやって知ったのかキリトの家の前には情報屋たちが詰めかけていたらしい。《転移結晶》で辛くも脱出し、キリトはいま、シェリーナと共にここ、《エギルの雑貨屋》二階客間でくつろいでいた。
「大変でしたね……」
「いや〜ほんとマジで死ぬかと思ったぜ」
ため息をつくキリトに、エギルがにやにや笑いかける。
「これでおまえも有名人だな」
「ったく……そうならない様にして来たってのに……」
「私たちだけの内緒だったのに、バラしてしまったからきっと天罰が下ったんですよ」
ふふん、と嗤いながらも、シェリーナは内心で落ち込んでいた。
これで、『アスナも知らないキリトの事』がまた一つ減ってしまった……。アスナがほとんどストーカーに近い形でキリトの事を調べ上げているのをシェリーナは知っていた。ただでさえ攻略組のアスナの方がキリトと一緒にいる時間が長いというのに……。
「シェリーナ?」
「っ!?は、はい……っ!?」
「いや。ボーっとしてたからさ」
「ご、ごめんなさい……!!」
シェリーナは真っ赤になった顔を隠すように、不思議そうな顔をするキリトから目をそむけた。
「(私は何を考えているのか……恥ずかしい……)」
「それにしても遅いなぁ、アスナの奴……」
キリトは昨日の攻略の時のアイテムの分配をすべく、アスナと待ち合わせをしていた。しかし約束の時間を過ぎても一向にアスナが現れないのだ。もうかれこれ二時間ほどキリトは待っていると言うが……。
「じゃぁ、そろそろ私は帰りますね」
「ああ、話し相手になってくれてありがとう、シェリーナ」
「今度は客で来てくれよな」
「意地汚いですよエギルさん」
シェリーナはニコリとほほ笑むと、フードをかぶって部屋のドアを開けようとした。
と、その時。
バァン!!というすごい音と共に扉が開き、シェリーナは吹き飛ばされた。危うくとれるところだったフードをあわててかぶり直し、闖入者を見る。開け放たれたドアの向こうに立っていたのは、顔面蒼白になって目を見開いた、アスナだった。わ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ