第T章:剣の世界の魔法使い
ドレイク
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さであり、《神聖剣》の防御力を突破できるのは《二刀流》しかないと確信できるほどだった。これを知っているのは所持者であるキリト、そしてシェリーナと、キリト二本目の剣をつくり出した鍛冶師の少女リズベットの三人だけだ。
もう一つのスキルのことを考えるのはためらわれた。あのスキルはほかのユニークスキルとは少し異なるものだ。
そして、そんな《ユニークスキル》の予想に関しては多くの話題が尽きなかった。そんな中の一つに『《魔法》というユニークスキルがあるらしい』というモノがあった。自分を助けてくれたあの魔導服のプレイヤーは、アインクラッドに一人しかいない《魔法使い》なのだろうか……。
シェリーナはすでにアインクラッド第七十四層主街区に帰還していた。クエストは達成され、報酬ももらった。しかしシェリーナの心にはやり残した感がいまだわだかまっている。あの《魔法使い》――――シェリーナはそう確信していた――――にもう一度出会って、確かめたい。幻ではなかったことを。助けてもらったお礼もしなくてはならない。
「とは言っても……」
あの《魔法使い》には、どうすれば会うことができるのだろう。プレイヤーであることは、緑色のカラーカーソルがあったことからも明らかだ。NPCなら黄色いカラーカーソルが、モンスターなら赤系のカラーカーソルが出現するはずだ。だから、あの《魔法使い》はプレイヤー。しかし、《魔法使い》が姿を現したのは森の奥……《不可侵エリア》からだった。《不可侵エリア》はダンジョンのマップ外に存在する、2Dゲームで言うところのタダの背景だ。そんな場所にプレイヤーは入れないし、出てくることもできない。
けれど、何もしないままでいるのは、シェリーナの本能が許さなかった。何か、行動する。そう決めたら、シェリーナはもう押さえられなくなる性分だった。
シェリーナは消費してしまったアイテム類を買いそろえるために、まずはNPC雑貨屋に向かった。
***
「……本当に、申し訳ありませんでした」
『いや……良いのだ。我が臣下に不注意をさせ、人を脅かした。奴らには当然の罰だ』
《彼》が殺したモンスターの中には、《彼》の仲間たちが含まれていた。本来ならあのような暴挙に出ることはないのだが、アルゴリズムにずれがあったのだろう。
「いえ。しかしそれでも、彼らはあなたの大切な臣下。私が殺していい命ではなかった。それに……私は、あの者の前に姿を見せてしまいました。再び、《来客》が来る可能性が非常に高い。せっかく人の少ないこの地を選んだというのに……もしあの者が私の《繋がり》の事を大衆のもとにさらしてしまえば、再びここに人々が集まって来るでしょう。……《王》よ。この地をお離れになることを提案します。
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