第T章:剣の世界の魔法使い
剣の世界の魔法使い
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た対数は三十体近くにのぼる。それでも危険なダメージは負わず、ここまで来ることができた。マップによると、目的の《黒輪茸》が生えているエリアはすぐそこだ。シェリーナは歩く速度を速めた。
そう歩かないうちに、開けた場所に出た。頭上には木々が生い茂っているため空を見ることはできないが、周辺に淡い光を放つ茸が生えているため、灯りには困らない。《光輪茸》と言って、麻痺毒の材料にもなる茸だ。
「あ……」
ふと目が留まったところに、漆黒のカサを持つ茸が生えていた。漆黒を周辺にばらまいているかのように、淡い光はそこだけ塗りつぶされたかのようになかった。《黒輪茸》の、光を吸収する習性によるものだ。
「あった……」
シェリーナは《黒輪茸》をとるべく、そこに近づいた。《黒輪茸》には強力な毒性がある。シェリーナはアイテムストレージから、紫色の石のついたネックレスを取り出して、装備した。ダメージ毒を無効にする《デスヴァイオレット》という銘のアクセサリーだ。
《黒輪茸》に手を伸ばし、優しくむしりとる。一瞬真黒い光を発してから、《黒輪茸》は光を失った。シェリーナはそれをアイテムボックスにしまう。
「よし……これで……」
その直後。
ビィー!ビィー!という音が聴覚いっぱいに響いた。《索敵アラート》だ。すぐに視界右端の簡易マップに視点を合わせる。そこには、モンスターを示す赤色のカーソルが三十近く表示されていた。
「……モンスターハウス!?」
《モンスターハウス》。ダンジョンの特定エリアにまれに存在するエリアで、そこにプレイヤーが踏み込むとモンスターが一斉に襲ってくるのだ。場所はランダムだったり、固定だったり。出現周期も不明のため、厄介なトラップとして知られていた。
モンスターが次々と姿を現す。中には今まで戦闘にならなかった、高位のモンスターさえもいた。シェリーナの実力ではこれらを突破していくことは難しい……。
かくなるうえは。シェリーナは《隠蔽》のスキルを起動させると、通路めがけて走り出した。シェリーナの装備しているフード付きローブには、隠蔽率をあげる効果があるのだ。少し激しい動きをしたところでは、《隠蔽》を看破されることはない。
しかし。モンスターたちは、そんなシェリーナの予測を裏切る行為に出た。モンスターたちの中から、目を布切れのようなもので隠した鬼が現れた。その鬼の体が発光したかと思うと……次の瞬間には、シェリーナの隠蔽が看破されていた。
「な!?」
《サトリ・チェイサー》と言う名のそのモンスターが、にやりと笑った気がした。
「オオオオッ!!」
モンスターたちが雪崩て襲ってくる。《バールドライヴ》を振ってモン
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