第T章:剣の世界の魔法使い
剣の世界の魔法使い
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、シェリーナの主武装にして切り札だった。付与効果もさることながら、この剣のすごい所はその基本性能に有った。
非常に軽いうえに、非常に切れ味が良い。水晶でできているという設定なので石でできた磨製石器なのだが、金属でできた剣なのではないかと思わせるほど切れ味が良い。五十層あたりのモンスターなら一刀のもとに斬り伏せられる。
シェリーナは剣を装備すると、《仄暗き森》の奥部へと足を進めた。
***
《彼》がそれに気が付いたのは、《彼》が今日の分の食料を料理し終えた直後だった。普段ならそれを気にすることはない《彼》。なぜならそれも《彼ら》の本性なのであって、少し気をつければ《彼》にとってはなんの問題もないことだからであった。しかし、今日ばかりはそうとも言い切れない。つい先ほど、《来客》の気を感じた。《彼》だけがここにいるのであれば《彼ら》に気を配ることは無いが、《来客》はそれを知らないだろう。それに、《来客》は《あれ》の元へと一直線に進んでいる。恐らく町で依頼を受けてきたのだろうが、今日この時期に《あれ》に近づくのはあまりにも危険。《来客》がそれを知っているとは思えない。
一瞬、《彼》の中に迷いが生まれる。《来客》を見捨て、《彼ら》の好きにさせるか。それとも、《彼ら》を傷つけ、《来客》を救うか。《彼》にとって《彼ら》は友だった。もっとも、実際に面識があるわけではない。けれども、《彼》の《仲間》の中には、この地に住む《彼ら》と友人関係にあるものも多い。友を傷つけるのはいたたまれないが、《来客》を見捨てるのはもっといたたまれない。
「……許してください、友たちよ。私には、ここに来たものを守る義務があります」
《彼》は小さくつぶやくと、立ち上がった。
***
シェリーナは《仄暗き森》を、マップに記された道どおりに歩いていた。
《黒輪茸》はアインクラッドの食材アイテムの中でも貴重とされる《A級食材》だった。《ラグー・ラビットの肉》や《黒豚茸》《嵐鮫の卵》などの《S級食材》と比べれば手に入れやすい食材ではあるが、決して『手に入れやすい』食材ではない。《黒輪茸》はさらに、高級ポーションの材料にもなる。今回のクエストはこれをとってきてアインクラッド第六十七層の古城の姫君に献上するクエスト。報酬は《魔喰い石》。属性系攻撃全てを無効化することができる石だ。加工してアクセサリーにすれば、属性攻撃を使うモンスターや、状態異常などと遭遇した時に安心だ。
今まで遭遇したモンスターは《ハイゴブリン》《ネオゴブリン》《ハイリザードマン》など全12種。倒し
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