第T章:剣の世界の魔法使い
キリトとアスナ
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スナはその美貌からか男女ともに熱烈な人気がある。ファンクラブの中には、崇拝に近い形で彼女を支持する熱狂的な者もいるというから、この男もその一人なのだろう。
「許可はとったわよ!っていうか、何で朝っぱらから私の家の前に張り込んでるのよクラディール!!」
「ふっふっふ……こんなこともあろうかと、私、二週間ほど前からアスナ様のご自宅の監視を……」
「……それ、団長の指示じゃないわよね?」
うわ、ストーカー……と再び内心絶句。恋敵だということも忘れて、アスナさんも大変だなぁ、という感想を抱いた。同時に顔を見せて歩いてなくてよかった、とも。現在自分の素顔を知っているプレイヤーは、知っている限りで五人だけだ。内1人は当然キリト、1人はエギルだ。
「さぁ、本部に戻りますよ」
クラディールと呼ばれた男が、ぬっと差し出したその手を、キリトががしっとつかんだ。
「悪いな。あんたのところの副団長様は、今日は俺の貸切なんだ」
「「(なん……だと)!?」」
「な、なんだと、このガキィ……」
ちなみに真ん中の心の声はシェリーナとアスナによるものである。
「ふざけるな!!貴様の様なガキに!アスナ様の護衛が務まるかぁ!!私は栄えある血盟騎士団の……」
「あんたよりはましに勤まるよ」
キリトが堂々と言い放つ。これが、クラディールの切れる寸前だった堪忍袋の緒を斬ってしまったようだ。妙に静かな声でクラディールは呟いた。
「ガキィ……そこまで言うなら見せてもらおうじゃねぇか……」
クラディールが自身のウィンドウを操作する。まさか、デュエル申請……。
キリトの眼が見開かれる。どうやらそのようだ。シェリーナは、「まってください」と声をあげていた。
「私にやらせてください。キリトさんのお手を煩わせるまでもありません」
「おい、シェリーナ……」
「あぁん?……テメェ……いいだろう。やってやる」
クラディールはターゲットをキリトからシェリーナに移行した。シェリーナの視界に『クラディールからデュエルを申し込まれました』とのメッセージが浮かぶ。迷わず【受諾】を押すと、両者の間にカウントが現れた。
「ご覧くださいアスナ様!!私がこの者より優れていることをご覧に入れましょう!そしてその生意気な黒ずくめのガキもうち倒し、私こそが護衛にふさわしいことを証明して見せますぞ!!」
クラディールは仰々しく、腰の両手剣を抜きはらう。一流ギルドのメンバーだけあって、それなりに豪華な装飾の施された剣だ。だが、それは見かけだけのこと。装飾が華美な剣は、基本的に中がスカスカだ。特にクラディールのもつ剣からは、強者の持つ剣としての気配が全く漂ってこない。
シェリーナは一つ嘆息すると、簡易ポーチから一本の《|投剣
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