第T章:剣の世界の魔法使い
キリトとアスナ
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た、シェリーナ。具合でも悪いのか?」
「い、いえ……なんでも、ありません……」
暗い声に気付かれないようにできるだけ明るい声を出そうとしたが、どうにもうまくいかない。
昨日はエギルにあれほど否定したが、シェリーナはキリトが好きだった。きっかけになった話はまた後日。
アスナは強力な恋のライバルである。シェリーナのようないまや無名のプレイヤーより、アスナの方がよっぽどキリトにふさわしい。それでも。それでも譲れない想いというモノは確かに存在する。
だけれども、シェリーナは公平な人間だ。それに、キリトの幸せが一番である。今はキリトが暇な時間が縮まることを願うのみだ。
「それより、アスナさん早く来るといいですね」
「ああ……」
直後。後方の転移門が激しく発光。甲高い悲鳴が響いた。
「きゃぁああああああ!!よけてぇ――――!!」
反射的に飛びずさるシェリーナ。しかしキリトは反応し切れずに、直後上空から飛来した物体に押しつぶされた。
「ふぎゅむ!?」
「きゃぁあああ!?キリトさん――――!!」
下敷きにされたキリト。シェリーナの悲鳴。
キリトは上に乗っかった物体を押しのけようと、右手でそれをおした。直後―――――
「や!?や―――――――――!!」
再びの甲高い悲鳴。激しいインパクト光と、《犯罪防止コード圏内》であることを示す紫色のウィンドウがまたたいた。
「のわぁ!?」
「キリトさん!!」
キリトに駆け寄るシェリーナ。キリトを吹き飛ばした当人――――《閃光》アスナは、胸の前で両手を交差し、羞恥と怒りで真っ赤に上気した顔でキリトを睨み付けていた。
そして……その瞬間。シェリーナは、何が起こったのか悟った。
「あ、アスナさん、なんて羨ま……じゃなくて、なんてことするんですかキリトさん!!」
「え、ええ!?」
右手をとじたり開いたりしていたキリトは、張り付いたような笑顔と共に、
「や、やぁ……おはよう、アスナ」
と声をかけた。アスナが余計に殺気立つ。あの表情は腰のレイピアを抜くか抜くまいか迷っている表情に違いない……。
しかし次の瞬間、後ろの転移門が光り輝くと同時にアスナはあわててキリトの後ろに隠れた。ぴったりと密着する二人に何か黒いものを感じなくもないが、今はそれどころではなさそうだ。
転移門から表れたのは、神経質そうな顔の、KoBの制服に身を包んだ男だった。三白眼気味の眼で周囲を見渡すと、キリトの後ろのアスナを見て困ったように声を発した。
「あ、アスナ様!勝手に外出などされては困ります!」
さ、様……とシェリーナは内心絶句した。常に顔を隠しているシェリーナと違って、ア
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