第T章:剣の世界の魔法使い
シェリーナ
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。完璧と言っていいほどその外見がマッチしている。
「相変わらずのぼったくり商売ですね。よくお客がいなくなりませんね……」
「ひでぇ言いようだな。これでも結構儲かってるんだ」
この店にやってきた顔見知りのプレイヤーたちにとってもはや一種の儀式と化している会話の後、エギルが商人の顔になって聞いてくる。
「今日はどうした。買い取りか?」
「はい。え〜っと……ちょっと待ってくださいね」
シェリーナと呼ばれたプレイヤーは、腰から下げたポーチをごそごそと漁る。ウィンドウからいちいちアイテムを出す作業を省略するための、簡易ポーチだ。シェリーナはその中から真っ赤な半透明の鉱石二つを取り出す。
「これ、買い取って下さい」
「ふぅん?どれどれ?ちょっと見せてくれよな……」
エギルはシェリーナから鉱石を受け取ると、商人クラスに必須のスキル、《鑑定》を起動させた。このスキルは、タップしたときに出現するアイテム情報を、名前、クラス、製作者名をはじめとする、より詳しい情報に拡張するモノだ。
鉱石の鑑定を始めたエギルの眼が、驚愕に見開かれる。
「おいおい!こりゃぁ……《アシュレィの秘石》じゃねぇか。どこで手に入れたんだ、こんな代物」
《アシュレィの秘石》は、アインクラッドの設定とも深く関与するS級インゴットと呼ばれるアイテムだ。
アインクラッドに存在するアイテムは、基本Z〜Xまでのランクに分けられており、X級アイテムは現在ほぼ入手不可能と言われている超貴重なアイテムだ。Sランクのアイテムですら手に入れるのはかなり難しいので、SS、SSS、Xとなればその入手難度が相当なものであることはうかがい知れるだろう。
《アシュレィの秘石》。この石を素材として作り上げた武器は異常な強さを誇ることで有名である。今までその出所は不明であり、たった一人、クエスト報酬で手に入れたと言うプレイヤーがいるのみである。
もっともその情報は今から大分前のものだ。シェリーナがそれを手に入れてきたということは、入手経路がほかにもあるということだろう。エギルは商人としても、プレイヤーとしても興味をそそられ、つい聞いてしまったのだ。
が。
「……企業秘密、です」
「そうだよなぁ〜」
エギルが苦笑いする。
シェリーナは自分の行動をほとんど秘密にしている。エギルとはだいぶ親しい間柄で、付き合いも長いが彼もシェリーナについてよく知らない部分が多い。
「今日は何つー日だよ。さっきもキリトの野郎が……」
「……っ!キリトさんが来てたんですか!?」
「orz……」
エギルはシェリーナの極度の変貌に気圧されたように口を閉じた。
「あっ……ご、ごめんなさい……
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