第四章
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は」
「もうすぐか。じゃあ」
「ああ。あと一息だ」
僕達は自分達に対してそう声をかける。
綺麗な大きい虹だった。左右の岩山の上からそのまま出て入るようにしてかかっている。見ているとそこに脚をかけて渡れそうな感じがする。その虹を見て僕達は身体に力がみなぎるのを感じた。僕はその中で皆に対して言った。
「もうすぐだからさ」
「ああ、向こうについたらまずは」
髭はその口髭を綻ばせて述べてきた。
「美味い果物食って喉を潤して」
「それから飽きるまで演奏だな」
「飽きるわけないじゃない」
白がリーダーに対して言う。
「だって僕達はその為に来たんだから」
気付いたらそうなっていた。そうさせたのは皆が持っている楽器からだ。僕は声がそれだ。皆それをそれぞれ持っていた。音楽の為に。
「そうじゃない」
「そうか。じゃあ」
「そこには誰がいるかわからないけれどな」
ベースはそう言っても楽しそうだった。
「それでもな」
「うん、それでも」
弟がその言葉に頷く。
「その皆が待ってくれているんなら」
「待ってるよ、皆」
ドラムがここで言ってくれた。
「誰かが来るのを」
「そうか。何の心配もいらないんだね」
「うん」
そのうえで僕ににこりと笑って答えてくれた。
「だからさ。安心して」
「行くか」
僕達は虹の下にあるその駅に向かってまた歩く。その先に希望があるのだとわかっているから。七人いれば何も怖くはない。虹の七つの色がそのまま僕達一人一人にかかっているのを見ながら先へ歩いていく。
RAINBOW STATION 完
2007・2・12
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