第二章 [ 神 鳴 ]
二十七話 神々の戦 終幕
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薄まっていく祟りの闇から諏訪子の手を取り此方側に引っ張り出した。
限界が近かったのだろう、諏訪子の瞳には力が無く意識があるかも怪しい。僕に引き寄せられた諏訪子は抵抗する事も無く僕の胸に倒れ込み完全に意識を失った。それと同時に八つ首の大蛇がゆっくりと、まるで蜃気楼の様に揺らぎながら消えていく。
それを確認すると僕は大きく息を吐いた。
「……何とかなったかな。…諏訪子にはたぶん怨まれるだろうな、まぁしょうがないか」
諏訪子を抱きとめた時に彼女が呟いた一言が耳に残っていた。
『…虚空、…どうして?』
どうして?、か…僕がそうしたかったから。なんて正直に言ったらきっと物凄く怒るだろうな。
「虚空!諏訪子はどうなの!」
僕がそんな事を考えていたらルーミアがそこまで来ていた。
「大丈夫だよ相当疲労してるけど神力を分けてもらえば安定する筈だから。それでルーミアにお願いがあるんだけど」
「何よ?」
「さっきから紫のスキマの気配を感じないんだ、たぶん疲労で倒れたんだと思う。だから諏訪子を本陣まで連れて行ってくれるかな?」
僕の申し出にルーミアは不思議そうな顔をする。
「?何でよあんたがそのまま運べばいいじゃない?」
そうしたいのは山々なんだけどね、出来ない理由がすぐそこまで来ているだよ。
「僕はこの後ちょっと用事があって帰れないんだよ……そうだよね神奈子?」
後ろを振り返ると神奈子と数人の大和の神がいた。それを見てルーミアが身構える。その集団から神奈子が此方に歩み寄って来た。
「取引は“洩矢を含む全ての諏訪の神達の身の安全”だったね?悪いけど念の為にあんたは拘束させてもらうよ、文句は無いんだろ?あとそこの妖怪、見逃してあげるから洩矢を連れてとっとと諏訪の陣に帰りな」
それを聞いたルーミアは目線で僕に問いかけてくる、どうするのか?と。
「と、言う訳だから諏訪子の事お願いねルーミア。あぁ後紫に『帰りが遅くなるけどいい子にしているように』って伝えてもらえるかな」
諏訪子をルーミアに預けながらそうお願いをする。まぁあの子の事だから心配は要らないだろうけど。
ルーミアは大きく溜息を吐きながら、
「分かったわ、それとあんた私との取引内容忘れてるでしょう?仕方が無いからあんたが帰ってくるまで諏訪にいてあげるわ、感謝しなさい」
そう言い残しルーミアは諏訪子を抱きかかえて諏訪の陣を目指し飛んでいった。確かにルーミアの言う通り取引内容を忘れていた、確か“この戦が終わるまで”だったな。帰ったら何かお礼しなきゃいけないな。
「……さてと、お待たせ神奈子、行こうか」
「そうだね――――この者に錠をかけ本陣に連行せよ!」
「「 はっ!! 」」
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