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八条学園怪異譚
第五十話 秋に咲く桜その一
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               第五十話  秋に咲く桜 
 愛実と聖花はこの日は聖花の家に集まっていた、そこで二人で一緒にテーブルに座ってあるものを食べつつ話をしていた。
 食べているのはスパゲティだった、インクの様に黒く烏賊や大蒜、唐辛子がその中に入っている。
 その黒いスパゲティをフォークで食べつつだ、愛実は聖花に言った。
「このスパゲティってね」
「イカ墨のやつね」
「ええ、かなり美味しいわね」
「そうでしょ、一見すると何これ、だけれど」
「美味しいのね、これが」
「そうなのよね、だからちょっとね」
 聖花が作ったものだ、勿論愛実も手伝った。
「今回作ってみたのよ」
「そうなのね」
「そう、ポイントはね」
「大蒜よね」
 愛実はスパゲティの中にあるスライスした大蒜達を見た、薄く切って焼いている。
「これよね」
「そう、それなのよ」
「スパゲティっていうかパスタって大蒜入れると味が全然違うのよね」
「そうなの、それとね」
「チーズね」
 愛実はここでこれも出した。
「それも欠かせないのよね」
「大蒜とチーズがないとね」
「もうパスタは味が格段に落ちるっていうか」
「それ愛実ちゃんもわかってるわよね」
「ええ、だからうちのお店でもね」
 愛実の家の食堂でもだというのだ。
「今はスパゲティとかマカロニにいつも大蒜を入れてね」
「粉チーズも用意してるのね」
「粉チーズはお客さんそれぞれだから」
 備えておくだけだというのだ。
「そうしてるの」
「成程ね」
「やっぱりパスタには大蒜とチーズよ」
 愛実も確かな声で聖花に言い切る、そのうえでそのスパゲティを食べ続ける。
「それとパスタ自体の茹で加減よね」
「つまりアルデンテね」
「そうそう、これは麺類全体に言えるけれど」
「のびた麺って食べられないからね」
「そんなのお店に出せないわよ」
 愛実はそうした麺類にはむっとした顔で返す。
「うちで注文が多いのはおうどんだけれどね」
「夏はお素麺よね」
「そう、あとざるそばね」
 こちらの注文も多いというのだ。
「ラーメンもあるけれど」
「そうなのね」
「スパゲティもあるけれど」
 食堂だから色々なメニューが用意されているのだ、食堂とは何かというと和食も洋食も中華も日本人が食べるものなら大抵置いているものだ。
「それでもね」
「一番はおうどんなのね」
「関西だしね、おうどんがいいわ」
「そうよね、実際愛実ちゃんおうどんを作るの得意だし」
「あれも茹で加減が大事だから」
「昔は関西のおうどんってコシがなかったらしいけれど」
 大阪のうどんである、かつてはそうだったのだ。
「それでも今はよね」
「そうなの、コシが大事だから」
「それで茹で加減は気をつけてるのね」
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