第一章
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僕は弟の方を見た。こいつの意見を聞くことにした。
「御前はどう思う?」
「俺は別にいいよ」
そう僕に答えてきた。
「何かこの人しっかりしてそうだし」
「そうか?」
その言葉には僕は疑問を持った。髪を伸ばしているせいか軽そうな男にしか見えない。僕にはわからないだけかも知れないけれど。
「まあ三人の方がいいじゃない」
ギターの男と同じことを言ってきた。
「そうじゃないかな」
「そうか」
僕もそこまで言われてそれに頷くことにした。
「じゃあ一緒に行ってみるか?」
「ああ、宜しくな」
「ああ」
こうして僕達は三人になった。三人になると今度はやけに話が進むようになった。あれこれ話していると前から一人またやって来た。口髭を生やしたリーゼントの男だ。
「あんた何処へ行くんだい?」
「いやな」
彼はふてくされた顔で僕達に対してきた。
「この線路伝いに旅していたんだけれどよ。何処まで行っても線路と荒地しかなくてな」
「帰るのか」
「そのつもりだけどよ」
彼はふてくされた顔のままで僕達に言ってきた。
「言っておくけれど先には何もないぜ。線路と荒地だけだ」
「そうかな」
「そうだよ。だから俺は諦めた」
「おいおい、根性ないな」
ギターがそれを聞いて髭の男に言った。
「簡単に諦めるなんてよ」
「何だと!?」
その言葉を聞いて目を鋭くさせてきた。
「俺が根性なしだっていうのかよ」
「じゃあ最後まで行ったらどうだよ」
ギターは髭にこう言った。
「そうすれば根性あるって認めてやるぜ。どうだ?」
「最後までか」
髭はそれを聞いて睨むのを止めてきた。急に落ち着いた雰囲気になった。それから僕達に対して言ってきた。幾分穏やかな声で。
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