第一物語・後半-日来独立編-
第六十一章 覚醒せし宿り主《1》
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神を呼び起こす。
つまりは、
「神を……宿しただと……!?」
極太の柱を見上げる央信が言った。
そう、この世に神を呼び起こす。
宿り。
人の身体に神を宿し、半永久的に神の力を得続ける。
世界には未だに両の手の指の数に収まる程度しかいない宿り主が、新たに、今一人加わったのだ。
誰が予想しただろうか、この事態を。それもただの宿りではない。
正式な宿り。
神と同格の力を得たということだ。
笑い話しでは済まない。
事態を理解している者達ならば、その危機感ゆえに焦りの色を見せた。
国を、世界を揺るがす出来事だ。
理解している央信は今まで見せなかった、焦りに顔を染めた表情で映画面|《モニター》を表示し、すぐさま叫んだ。
「今すぐに解放速度を最大にいろ! これは命令だ!」
『――っ!? さ、最大だ! 解放速度を最大にしろ!』
長の慌てた声を聞いた隊隊長はすぐさま、解放場を操作している者にそれを伝えた。
が、操作している者は首を横に振るだけで、
『無理です! これ以上は解放場に無理が生じます。解放失敗になる恐れが』
「構わない! いいか、今はいち早く解放を完了させることだけを意識しろ! 解放速度が最大になった後、自動制御に設定しすぐさま駆翔天から離れろ!」
『それでいいのか』
「構わないと言っているッ!」
隊隊長は後は何も言わず、解放速度を最大にすること伝えた。
奥歯を噛み締め、掌の皮を破るように央信は爪が掌に食い込む程の力で拳を握る。
やっとここまで来て。
全てが台無しだ。今までの全てのものが。
何がなんでも魂の流魔結晶が必要だというのに。
日来だ。
全ては日来が、独立などと身勝手な行動のせいで起こったことだ。日来さえ邪魔しなければ、このような事態にはならなかった。
憤怒が燃え、今にも爆発しそうだ。
目に入る光の柱。
神の降臨。
それが自分の生命を脅かす。
まだ死ぬわけにはいかない。まだやるべきことは沢山ある。黄森を生かすため、“妹”のために生きねばならない。
負けるわけにはいかないのだ。
何よりこの力には。
●
黄森と辰ノ大花の境界線上から、ドラゴン級戦闘艦ザ・ウォールの甲板上より二人の者が青く光る柱を見た。
目を見開き、一瞬何が起こったのか理解出来無かった。
思考が止まってから動き出すまで、人形のように身が固まっていた。
「まさか、新たな宿り主が……!」
ジスアムもこの事態に気が付いた。
後から、ジスアムの横にいたライタームが動揺した様子で言う。
「間違いありません。これは、これはまさしく宿り主の誕生です!」
「傀神と日来長は言っていたが、そんなことが……」
「映画面|《モニター》からはちゃんと傀神とい
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