第2部:学祭1日目
第9話『嫉妬』
[9/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
る、唯は呼び鈴を鳴らした。
ぴーんぽーん。
誠の家の呼び鈴が、鐘をつくように聞こえた。
がちゃっ。
ドアが開くと、出てきたのは、誠。
「唯ちゃん…」
「マコちゃん…」
思わず2人の、声がハモった。
と、唯は耐え切れなくなり、
「ごめんなさいっ!!」膝をついて土下座し、「ほんと、憂が…妹が本当に迷惑かけたみたいで…!!」
「唯ちゃん…だから唯ちゃんがやったことではないんだから、そんな卑屈にならなくても…」
「ううん、妹の不始末は私にも責任があるもん! 本当に…本当に…ごめんね…」
額を地面に必死にこすりつける唯。
と、左頬がぽっと暖かくなる。
誠が唯の視線まで腰をかがめ、そっと手を差し伸べていた。
「大丈夫。もういいよ」
顔を上げると、誠は穏やかな微笑みを浮かべていた。
「マコちゃん…!」
唯の眼がしらが、熱くなる。
「おにーちゃ! どしたのー!!」
小さな子供の呼び声。
ツインテール、3歳くらいの少女が玄関に立っていた。
可憐で優しい顔だが、前髪などがよく誠に似ている。
「あ、この子が妹のいたる。あ、いたる、この子は俺の友達の、平沢唯ちゃん」
思わず唯は膝をかがめ。
「ごめんね…憂が…妹が貴方に迷惑をかけちゃったみたいで…」
何度もぺこぺこ頭を下げた。
「はー?」
いたるはぽかんとした表情。
「ほら、いたるも覚えてないみたいだし、大丈夫だよ」
「それより」梓は少し、喧嘩するような口調で、「憂はどこ? 憂のことは申し訳ないと思っているけど、それはそれ。
大体あんたが唯先輩をその気にさせたから、憂もおかしくなっちゃったんでしょ。あの子はお姉さん思いだし」
「あずにゃん、その気じゃなくて、もともと私から好きになったんだよ!」
たしなめる唯に対し、誠は無言。
ある意味図星なだけに、答えられない。
「…まあ、こんなにいらっしゃってたんですね」
誠の背後から、声。
そちらを向くと、言葉と心。
「桂さん…。あれ、そっちの子は?」
「妹の心です。憂さんなら、向こうにいますよ」冷淡な声、冷淡な表情で言葉は唯を見据え、「全部なかったことにしますから、どうか、お引き取り願いますか」
「そんな…正直、マコちゃんにはホンっとーに申し訳ないと持っているし! 死ぬことだってためらわないくらいなんだよ!!」
「唯ちゃん、だからそんな卑屈にならなくても…」誠は苦笑いしながら、「とりあえず、憂さんもいるし、一緒に食事しない? 今日はハンバーグライスとスパゲッティーサラダだから」
「ほんとなんだね!! ありがとう!!」
思わず気持ちが浮き上がる。
「おい、遠慮しろよ唯。 いやいや伊藤、悪いよ」
澪が手をパタパタ振って前に出るが、さらに律が出てきて、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ