第2部:学祭1日目
第9話『嫉妬』
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七海は冷静な口調。
逃げ場はない。
放課後ティータイムの誰かと連絡を取りたかったが、いかんせん携帯が出せない。
せめて、誰か一人でも来てくれたら…。
無理だろうか。
「いったい七海…何しているのかしら」
「あれだけの人数を集めているから、大がかりなことだと思う」
そわそわする光に対し、隣の刹那は、相変わらず無表情。
「世界…」
光が声をかけるが、世界は布団にうつ伏せになったまま、応じない。
と、
「私…」むくりと起き上がり、「私、ちょっと用事思い出した」
低い声で、つぶやくようにいい、
「行ってくる」
そう言って、外套を着ると、玄関の方まで急いでいく。
「世界、どうした?」
「用事思い出したんで、行ってくるから」世界は真顔で、「七海、あまりてあらなことはしちゃだめよ。今日も澤永をそそのかして、桂さんに危害を加えようとしてたって聞いたし」
「あ、いや、はは…」七海は頬を染めて、「まあ、おいおいな…」
「ムギさんも、無理しなくていいですからね。七海が暴走しそうになったら、止めていいから」
確信に満ちた口調に、ようやくムギの緊張が、ほどけた。
「あ、待って西園寺さん! 私もついていくわよ。」
「あ、でも…ちょっと今日は、1人で行きたいんです…」
「伊藤さんや桂さんのことなら、私は平気です。あまり干渉しませんから」
「…でも、ごめんね…」
懇願するムギに対し、世界は顔を赤らめて断った。
そのまま、世界は夜の闇へ飛び出していく。
再び孤立してしまったムギ。
「どこへ行くんだ?」
「伊藤のとこだね…」刹那は息をしながら、「七海、強引な方法を取らなくてもいいんじゃない。世界の思いが通じて、伊藤と元通りの関係になる可能性もあるわけだし」
「それもそうね」
光も同調する。
ムギは無言。
すっかり、物言えば唇寒しになってしまっている。
「…うまくいくといいけどねえ…相手はあの牛チチ女だよ…」
こめかみをかきながら、七海はつぶやいた。
「とりあえず、万が一の時の作戦。実行するつもりですよ、ムギさん。」
「…そうですか…」
ムギは、再びうなだれてしまった。
プラットホームから、海が見える。
ようやく原巳浜駅についた。
「あ、もしもし桂、いま原巳浜についた」
澪が立ち止まって言葉と電話する時も、誠の家まで、唯は全速力で突っ走っていた。
「おい、待て唯! 大体お前、伊藤の家知らないだろ!!」
息を切らして走りながら、澪は前方の唯に声をかける。
「ううん、こっちがきっとマコちゃんの家だよ!!」
一種の直感みたいなものが、誠に絡むとよく働く。
唯自身、ちょっと驚いていた。
「なんでわかるんだよ…あ、桂、今原巳一丁目の本屋
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