第2部:学祭1日目
第9話『嫉妬』
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不断なだけで、誰かを思いやれる心はあると思うんだ。
どれだけ振り出しに戻っても、じっくり、マイペースで決めさせてやっていいと思う。
そうすれば、多分いい形で上がれると思うんだ」
「?」誠は振り向き、「何か言いました?」
「あ、いや、なんでも」
澪は、顔を赤らめて答えた。
やがて、唯、世界、言葉が戻ってくる。
「世界、どうして…」
世界の顔を見て、誠は思わず言う。
「い、いやあ…誠、一人で落ち込んでるかなあって思って、来たんだけど…」
世界は笑いながら、目をそむけた。
「西園寺…」
「田井中さん…」
律は世界に近づく。
「いったい、ムギに何があったんだ?」肩をつかみ、「なあ! 澪や桂のことか!? いったい何があったんだよ!?」
澪と言葉、唯と誠もそれを見て、あらぬ何かを感じ取っていた。
「ムギちゃんに、何かあったのかな…?」
「はあ…」
誠の母は、彼に頼まれた買い物を手に提げながら、車を駐車場に停める。
外に出ると、星一つない、灰色の雲が覆う夜空。
マンションの入口に入ろうとすると、
「お前か」
と低い声。
振り向くと、長髪で縞の皮ジャン、筋骨隆々な男がいた。
「あなた…いや、沢越…止…!」
かすかに寒気、嫌、吐き気すら覚えた…。
「何だよその口調は。ただいたるを連れ戻しに来ただけなのにさ」
鼻で笑いながら、止はどす黒く濁った眼を彼女に向ける。
「…いたるを連れ戻したら、早く帰ってくれる? 誠だってあなたの顔なんか見たくないでしょうし」
「…言われるまでもねえ」
おたがい淀んだ雰囲気のまま、2人は誠の家へと急いだ。
続く?
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