暁 〜小説投稿サイト〜
Cross Ballade
第2部:学祭1日目
第9話『嫉妬』
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ハンバーグとスパサラダを口にする。
「言っとくがね、」律は両腕を頭に組みながら、「西園寺もこっちに来てるみたいなんだ。いい加減はっきりしねえと、痛い目にあうと思うぜ」
「世界が…わかってますよ…」


「あのですね、平沢さん。」
 誠の家の外で風を浴びながら、言葉は唯に、

「貴方が誠君に会うのは許したいんです。秋山さんのこともありますし。
でも、誠君は私と付き合っているんだから、あまりくっつくのは、やめてくれませんか…」
「…それは、どうかな…」
 重い口調で、唯は答えた。
「誠君も私が好きですし。貴方はあくまで『友達』です」
「それは…分からないと思うけど。」
 相変わらず疑心的な目を、唯はちらちらと目をそらしてかわす。
「わかりますよ。誠君のこと一番わかっているの、私ですから」
「そんなことはないと思う。
だって、憂があんなことしても、マコちゃんは笑って許してくれた…。
それは、憂が私の妹だったから。あの人や貴方じゃそうはいかないって、マコちゃんは言ってた…」
 言ってみただけだったが、誠の思いが自分に向いていると、唯は信じたかった。

「誠君は、すごく優しいですからね」多少嫉妬の混ざった目で、言葉は、「でも、私には、キスしてくれました」
「キスなら、私だって…」
「いっぱいですよ」
「そんなの…」
「唇だけじゃなく、胸も、おへそも、おなかも、背中だって…」
「え…?」
 唯は、嫌な予感を感じた。
「証拠だってあるんですよ」

 得意な表情で言葉が携帯を取り出した時、
 ドッドッドッ…!
 何やら階段を全力で駆け上がる音が聞こえる。
 そちらを向くと、階段から1人の小柄な少女が飛び出し、2人の目の前で停止する。
「…西園寺さん…」
「貴方はあの時の…」
 呆然とする言葉と唯に対し、世界は大きく息をして、
「はあ、はあ、はあ…2人とも、やっぱりいたのね…」
 ぎこちない微笑み。
「もう、誠には許してもらえないとは思ってるし…まだ誠への未練を残しているというわけではないけど…あれから誠、どうしてるかな、と思って」2人の視線から目をそむけながら、世界は言う。「いじけてさ、1人で部屋に引きこもってるかなーって、思ってたんだけど、貴方達がいるとはね。まあ田井中さんから聞いたけど」

 それを聞いて、ぷっと唯は吹き出して、
「要は西園寺さんも、マコちゃんのことをあきらめてないんだよね」
「バッ…! なんてこと言うんですか!!」
「ならば、戻ってくる必要ないじゃない」
 なんだかおかしくて、思わずくすくすと笑ってしまう。
 世界の顔は赤く、言葉は相変わらずの冷ややかな視線。
「ちょうどいいですね。西園寺さんも、みたほうがいいです」
 携帯を取り出し、カメラのデータを開く。
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