第2部:学祭1日目
第9話『嫉妬』
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ピースは私も好きだしよ」
赤面する誠と、注意する澪にも、律は動じない。
「ま、はまる物にははまるんですよ、俺も」
ため息をつきながら、セイロを使って料理を蒸している誠。
梓はむしゃむしゃ、ハンバーグを早食いしながら、
「おいしい…。あ、ま、誰にでも何か取りえがあるもんですね」
「梓」
澪が仲裁するが、誠は多少癪に触りながらも、
「そりゃあね。のび太だってあやとりと射撃が得意なんだし、ドラボンゴールのハムチャだって、野球がうまいだろ」
とりあえず流す。
と、唯がそばに来た。
スパゲッティーサラダのクリームが、口の周りについている。
「あれ、唯ちゃん?」
「マコちゃん…私に、何か手伝えることある?」
潤んだ目で、ドキドキしながら言っていることに気付いた。
思わずぞくぞくしながらも、誠は、
「あ…そうだな…じゃあ、この生地にごまをのっけてくれる?」
「う、うん!」
「それより、口にクリーム付いてるよ」
「あ、ごめん…」
誰も見てないのを見計らってから、唯は…。
誠の頬に、キスをした。
胸の高鳴りが、さらに激しくなる…と、急にひやり。
言葉が、冷たい視線で彼を見ていた。
……
澪が彼女を引っ張って席をはずした後も、彼は冷たい気持ちに、震えた。
「マコちゃん、こんなんでどう?」
唯が明るい声をかけてきたので、思わず我に返る。
座敷わらしのような笑顔である。
「あ、いいじゃないか。じゃあ今度は、生地をセイロの中に入れてくれる?」
笑顔の唯と向かい合うと、意識しなくても笑顔が出る。
だから、妹のことも許せたんだろうと、彼は改めて思う。
生地をセイロの中にほうりこむ。
唯と見て、一緒にくすくす笑いあった。
「ほんと、すまなかったな…。憂ちゃんがいたるちゃんに迷惑をかけちゃったみたいで。おまけにごちそうまでしてもらって」
食卓から少し離れた、お風呂場の更衣室で、澪は言葉に声をかけた。
「…終わったことは、もういいですから。正直、憂さんだけ迎えて引き取ってほしいところでした」
横顔、思案顔で、言葉は答える。
「それにしても、相変わらず唯には冷たいんだな」
「当然です。あそこまで誠君とくっついてくるんですから」
澪は肩をすくめて、
「正直、貴方の独占欲が強すぎるんじゃないのか?」
「独占はしたいものです。誠君の彼女は、私ですから」
「…まあそうか。しかし、私達が帰ったあとで、ゆっくりと過ごせばいいんだと思うんだ」
「…」
「唯はただ、好きな人にスキンシップをかける癖があるだけで。伊藤は桂とのほうが付き合いが長いんだから」
「…貴方は、分かってません」
「え…?」
「私が、手を握られるのを怖がってる間に、西園寺さん
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