第2部:学祭1日目
第9話『嫉妬』
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「だーいじょうぶだ、伊藤なんかよりいい男は、生きてりゃそのうち会えるって。あんたは結構いろんな人にコクられてんだろ? はっはっは」
あっけらかんと笑う律が、何やら腹立たしい。
「やめてください。ずっと前から私は、誠のことが好きだったんです!」
「あー…。」
「…もう、乗り掛かった船です。駅まで来ちゃいましたし」
「そうかい…。あ、それとよ。ムギはどうしてる?」
「ムギさんですか…?」
あの人がつらい役割を、七海に頼まれていることには、薄々彼女も感づいている。
だが…七海も、自分のためにそれを行っている。
……
「…ムギさん、結構つらい表情をしていました。きっと、望まない役割を引き受けることになって」
「え…?」律は何かを察したらしく、「あ、あんたたち、ムギに何をしたんだ!? 甘露寺も黒田も清浦も、何をしたんだよ!?」
「…わからないです…。ただ、今度会ったら、はげましたほうがいいと思いますよ。
そして誰か一人、ムギさんのそばにいていたほうが」
「まて! 何があったのか全然わからねえ!!」
「わからなければ、いいです。
それと、秋山さんは桂さんから手を引いたほうが、身のためになると思います。
あ、電車が来た。きりますね」
「…わかった。あたしは西園寺の家に向かう」
「え? でも、場所知らないでしょ。 模手原坂下からすぐなんだけど」
「…そうだったな…」
少し呆れて、世界は通話をオフにする。
『貴方が誠君のことを嫌いになった以上、誠君も貴方のことを嫌いになったでしょう。』
言葉の言が、頭の中で響いた。
「大丈夫、だよね…。私が誠のことを好きならば、誠だって…」
つぶやいてから、電車に乗り込んだ。
誠はあらかじめ、何人来ても対応できるように、ハンバーグを小さくたくさん作っていた。
ハンバーグが好物であるいたるはちょっと不満だったが、誠が自分の分を妹に渡したことで、落ち着いた。
席が少ないのが気になったが、とりあえずソファーを使って、何とか間に合わせた。
憂はいまだに落ち込んだままだが、梓が隣で慰めているようだ。
律、心、いたるが食事をしながらだべっている中で、誠はデザートを作っている。
3人とも、子供のように(心といたるは子供だが)はしゃぎまわって、誠の部屋に行ったり来たり。
「お、漫画! おお、『ワンピース』『幽☆幽☆白書』『るろうに剣心』。全巻揃えてんなんてすごいじゃねえか!」
「んー、なんだかわからないけど、おにーちゃんはすきだって…」
いたるにつれ沿う形で、誠の部屋に行く律。
「勝手に人の部屋に入らないでくださいよ…恥ずかしい」
「そうだぞ律。大人しく食事しなって」
「いいじゃねえかよ。それに恥じるものなんかねーぞ。ワン
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