帝国基地攻略作戦
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「第四中隊、敵正面を撃破」
「よし、では第五中隊と連携し、さらに押し込め」
「中佐!」
「なんだ?」
振り返って、メルトランは無線兵を振り返った。
「基地から連絡が入っています」
「何と?」
「特務小隊が斥候部隊を発見。全員の死亡が確認されたと」
「そうか」
メルトランは一言だけ呟いた。
基地周辺の探索に向かっていた一部隊から連絡が途絶えたのが数日前。
基地からの命令は、攻撃をそのまま行えというものであった。
おそらくメルトランが向かっても助からなかったのであろうことはわかる。
だが、知っていても全員の死亡との言葉には喜べない。
せめて、亡骸だけでもハイネセンに戻すことができるのが救いであろうか。
「基地より伝達です。その際にこちらの装甲車のデータが奪われた可能性がある、気をつけられたいと」
「何にだ」
「いえ、それは」
戸惑う無線兵に厳しい言葉をなげて、メルトランは息を吐く。
無線兵は基地からの連絡を正しく伝えたに過ぎない。
怒るのは過ぎ違いだったと後悔し、首を振った。
「例え、我々の基地データを奪われたとしても、ここを潰せば問題ない。第三大隊にも伝えろ、囲いを狭めて敵を圧迫せよと」
「はっ!」
走り出す無線兵を見送って、メルトランは再び戦場に目をやった。
その視界に、一台の装甲車が映る。
こちらの部隊ではない、帝国軍のものだ。
それは同盟軍の包囲の隙間をぬって、基地に戻っていく。
どうするかと思案。
「装甲車一台が戻ったところで態勢に影響はない」
一台を潰すために包囲を崩す方が厄介だ。
そう判断して、メルトランの意識は装甲車から消えた。
+ + +
「少尉。御無事で――ただいまヘルダー大佐が指揮をとっております。すぐに司令官室へ」
「後で良い。いまはそのような事をしている時間はない」
「しかし!」
「聞こえなかったのか。今は時間がない、私は無線室へ向かうと言った」
「はっ!」
基地が敵の攻撃にさらされていても、ラインハルトは冷静であった。
キルヒアイスを連れて、破壊音が鳴り響く通路を歩く。
誰もが顔をひきつらせて走る中で、ただ一人落ち着いた様子であった。
轟音が響いた。
敵のミサイルが近くに着弾したのだろう。
響く振動と震える通路に、先頭を歩く兵士が短く悲鳴をあげた。
「ラインハルト様」
降り注ぐ天井のかけらをキルヒアイスが手をかざして、避ける。
怯えたように足を止めた兵士を抜き去って、ラインハルトは無線室と書かれた部屋に足を入れた。
「少尉!」
戸惑う声がラインハルトを出迎える。
喉を枯らさんばかりに、命令を伝達していた兵士達が驚いたようにラインハ
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