帝国基地攻略作戦
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ついていない時にはついていない事が重なるものだと。
「中佐。スノーモービルが数台動くようです、これを使えば中佐だけでも」
「それは少佐が使いたまえ。多くには犠牲を強いる事になるな、それでも少しは生き延びてもらいたいものだが」
「何をおっしゃいますか!」
「誰かは責任を取らねばならぬ」
「ならば、その責任は私にもあるはずでしょう。このようなこと誰が想像をできたと」
「アレス・マクワイルド少尉」
呟いた名前に、レティルは眉をひそめた。
それは新任の特務小隊長の名前だ。
まだ配属されてまだ二カ月余り。士官学校出の優秀な人間であったという情報だけで、彼がどのような人物であるか、レティルは知らない。
ただ伝え聞くのは二通りの解釈だ。
一つは毎日雪合戦をして遊んでいるという批判的なものであり、もう一つが訓練をサボることなど当たり前、真面目とはかけ離れたいわば屑が集められた特務小隊で、遊びとは言えまとめ上げて、規律を作っているという点で肯定的なものがある。
どちらが正しいか、いずれ会ってみたいとは思っていた。
そんな人間の名前に、驚きを浮かべてメルトランを見る。
視線にメルトランは自嘲を込めた笑みを浮かべた。
「少なくとも彼はこの結果を想像していた。実際に進言もあがっていた――だが、それを無視したのは私なのだ」
「進言?」
「脳波認証に異常があった場合に、手動に切り替えられるようにとな。切り替えられれば、脳波認証の意味などないと思っていたが、どうやら間違いだったらしい」
呟くメルトランに、レティルは答えを窮した。
そのような進言があったなど、聞いてもいない。
いや、確かに特務小隊が遅くまで残って装甲車を整備していた記憶はあるが。
「つまらぬことと思っていたが、どうやらつまらぬのは私だったようだ」
「そのようなこと」
「レティル少佐。命令だ――君はスノーモービルで、この現状を伝えてくれ。私は残ったものを出来るだけ撤退させる。この吹雪で徒歩では難しいかもしれないが」
「中佐!」
「命令だ、わかるな? そしてマクワイルドに伝えてくれ、すまなかったと」
有無を言わさぬ断言に、レティルは迷う。
しかし、その迷いをかき消すように敵正面に向かった部隊が砲火にさらされた。
燃え広がる炎と悲鳴に、レティルは迷うを振り払うように首を振った。
「わかりました。御無事で」
「君もな」
メルトランの言葉に、レティルは踵を返した。
スノーモービルへと向かう姿を見送れば、メルトランは戦場を振り返る。
上は現場の意見を聞かないと愚痴をいいながら、自分も同じであったという事実には苦笑いしか浮かばない。ならば、最期くらいは理想のままに終わりたいものだと思う。
「全部隊。敵正面
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