帝国基地攻略作戦
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ちこまれる攻撃に、同盟軍も必死で攻撃を返す。
しかし、同じ攻撃であっても同盟軍は連携もなければ、動くことも出来ない。
文字通り的となった同盟軍の兵士達は、次々に雪に死体を重ねていった。
「ナパームを」
ラインハルトが言葉とともに、装甲車を盾に奮戦していた一部隊を指さした。
理解したように兵士がナパームを装甲車へと向ける。
「逃げろ!」
同盟軍の悲鳴は、基地にいるラインハルトの元にまで聞こえた。
だが、遅い。
直後に着弾するナパームが、装甲車とともに周囲にいた兵士を蹂躙していく。
着火剤が使われた炎は、雪に転がったとしても容易には消すことができない。
慌てて消火しようとした兵士の腕まで焼き尽くして、悲鳴を倍増させた。
「気持ちのいいものではないな。やはり、俺は地上は苦手だ」
「ラインハルト様」
「わかっている、キルヒアイス。例え地上だろうが宇宙だろうが、死ねばヴァルハラ――同じ事だ。今ここで殺した千人と空で殺した千人に何の違いもない。だが、気分の問題だ」
いまだに聞こえる悲鳴にラインハルトが眉をひそめれば、キルヒアイスはそれ以上は何も言葉にしなかった。もはや戦況は帝国軍に傾いている。装甲車が動かなくなったいまでは、敵の攻撃はこちらに被害を与えられず、逆にこちらからこの攻撃を敵が防ぐことはできない。
もはや戦いではなく、虐殺であろう。
もっとも敵の装甲車を無効化できなければ、逆に同盟軍は嬉々としてこちらを攻撃したのだろうが。
戦況を見ながら、ラインハルトはこつこつと音を鳴らした。
近くにあった装甲車を無造作に指で叩いている。
それがラインハルトが不機嫌になった時の癖だと理解して、キルヒアイスは穏やかに声をかけた。
「どうしました。戦いを止めますか」
「そんな事をして何になる。動ける者は、いまのうちに叩いておくのは当然のことだ。見逃したものが、俺達も見逃してくれるというのか?」
「では」
「腹が立つのは同盟の無能だ。攻撃のチャンスがなくなったのならば、さっさと尻尾を巻いて逃げるのが当然だ。それが目前の餌の前に、冷静な判断が出来ないでいる。まったく無駄な犠牲だ」
吐き捨てるように呟いて、ラインハルトはさらに指を動かした。
響く音が強くなる。
「帝国が無能ばかりで良く勝てたものだと思っていたが、なるほど――無能が無能と戦えば、戦争は長引くのは当然だ」
「声が大きくございます」
「なに。誰も聞いていない――心配するな」
首を振って、ラインハルトは足を進めた。
「どうしたのですか」
「そんなに戦いたいのなら、敵の無能にも戦ってもらおうじゃないか。キルヒアイス」
「はい」
+ + +
「報告、第三中隊壊滅――レイノルズ大尉以下
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