帝国基地攻略作戦
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ルトを見ていた。
なぜここにいるのか。
疑問を浮かべる兵士に構うなと手を振ってこたえて、ラインハルトは脇に座った。
「全てに一斉に送信したいデータがある。それはここの機械で可能か」
「は、はっ。しかし」
「尋ねているのは私だ、軍曹」
「はい。そこから全隊に一斉に送信できます」
「それは、敵もか?」
「反乱軍……にもですか」
「君も私に何度も同じことを言わせるつもりか?」
「し、失礼しました。すぐに一斉送信へと切り替えます」
「一分で行うように。その間にこちらもデータの準備を行う」
手にしていたデータ端末を入れて、ラインハルトはコンソールを叩き始めた。
それはヘルダー大佐とフーゲンベルヒ大尉の罠によって動かなくなった燃料電池を同盟軍から奪ったとともに手に入れていた反乱軍の装甲車のデータだ。
敵の地図データの他に、装甲車を動かすための脳波認証のデータが入っている。
脳波認証について書き換えることまでは必要はない。
ただ、相手が認証出来ないように妨害すればいいだけだ。
敵が使用する周波数は、既に把握済み。
ならば、その周波数に向けて一斉に偽データを流す。
それだけで敵は装甲車が使えなくなる。
周囲の視線が集まる中で、ラインハルトはコンソールを叩く。
白い指がピアノの鍵盤を叩く様に、滑らかに動く姿に、兵士達は手を止めて、思わず見入った。
「手が止まっているぞ、軍曹。こちらの準備はできた」
「は。こちらも完了です。いつでも一斉送信は可能です」
「よし。では、送信するデータを送る」
呟いて、ラインハルトは背後に控えるキルヒアイスを振り返った。
赤毛の少年は穏やかな顔で頷く。
ラインハルトがすることに間違いなどないのだと言わんばかりに。
だから、ラインハルトも小さく頷きを返した。
「これで反乱軍は木偶の坊だ」
白く細い指が、キーボードを叩いた。
+ + +
「敵が崩れたぞ、全装甲車でたたみかけろ」
高台の上で、敵基地を見下ろしながらメルトランは声に出した。
敵からの攻撃は散発的なものへと代わり、ここが攻める時期だと判断する。
その判断は決して間違っていない。
抵抗を続けていた敵兵士達には疲れが見えており、装甲車を突撃させれば瓦解するであろう。だが、それは最悪のタイミングでの命令であった。
装甲車が敵の正面――平原に差し掛かった瞬間、全てが一斉に沈黙した。
装甲車からの砲撃も、移動もなければ、それは大きな的でしかない。
それは敵である帝国軍ですら戸惑いを見せた。
だが、もっとも戸惑っているのは同盟軍の方だ。
「なぜ、止まる!」
叫んだメルトランの前で、敵基地からナパーム砲が放たれた。
敵正面で
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