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さんすくみっ
第一部
第三幕 畜生叫ぶ
第三幕 畜生叫ぶ
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みるか」


「…………なんだよ、これ」
 三味線と呼ばれる弦楽器。沖縄では三線とも呼ばれるそれは、他の弦楽器とは違い、その名の通り弦が三本しかないことが大きな特徴の一つである。
 だが、更にもう一つ他の弦楽器とは違うところがあった。
「この三線と呼ばれるものは、他の弦楽器とは異なり、見た目も強く意識して作られています。多くは犬の皮、高級な物ですと猫やニシキヘビの皮となりますが、今回この三線に使われているのは」
 ナレーションが言った。
「ハブの皮です」
「………………」
 ああ。あ……。
「本来ハブ自身は細く、このように加工するのには適しませんが、今回お見せしたこの三線は、ハブ博士と呼ばれる山城海さんが、長年の研究の末にようやく発見した、突然変異の、大きく、そして何よりも美しいハブを使用しております。それでは、山城海さんに起こしいただきましょう」
「ケ、ケロ? ミーくん?」
「何だか顔色が酷いよ?」
 ああ……ああ。
 出てきた男は……。
 男は……。
「失礼します」
『素晴らしい色のヘビじゃないか』
 あいつだった。
「──こいつを初めて見たとき、ピーンと来ましてね」
「そうなんですか。さて。実は山城さんは、ハブ博士であると同時に、三線名人でもあるのです」
「いやいや。名人だなんて、そんな。ただ、人よりも多少多くの賞をいただいているだけです」
「その三線名人であられる山城さんに、今回、このハブの皮で飾り付けられた、宇宙で最も美しい三線を披露していただきたいと思います。ではお願いできますか?」
「はい。こんな私で良ければ喜んで」
 そう言って男は、三線……いや、あいつに手を伸ばそうとした。
 ………………ざけんな。
「その汚い手をそいつに近づけんじゃねぇえええええええええええ!」
「む?」「な、なんですか君は!?」
「ケロロ!?」「ミーくん!?」
 一瞬静まる会場。
「てめェ、そいつに指一本でも触れてみやがれ。俺がお前を八つ裂きにしてやる」
「君は一体何だね? ここを何処だと思っているんだ?」
「んなもん、知るかよ。……そうだな。強いて言うなら、てめェの墓場だぁああああああああああああああああ!」
 目の前が真っ赤に染まる。
 殺す。殺す。コロス。
「シャァアアアアアアアアアア!」
 瞬間、突然俺の後頭部に強い衝撃が加わったかと思うと、段々と意識が薄くなってきた。
 クソ。
 ク……ソ………。



「あなたは、何故私に生徒を殴らせた!!」
 次に意識を取り戻した時、初めに聞こえたのは、そんなもっさりとした声だった。
「あなたの話を聞く限り、こいつがあの男を殺そうとすることくらい、簡単に予測できた筈だ!」
「ケッケッケ。ああ、面白いくらい予想通りだったぜ」
 ……
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