07/19 岡島龍
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自分で考えといてなんだが、笑ってしまう。
山田が。ぷぷ、
声を押し殺しながら笑うと、やっぱり
隣の席の女はにらみながら教科書を自分の机に寄せた。
そして黒板を真面目な顔でみている。
黒いセミロングはさらさらと揺れてて。
頬杖をつきながら目を細めて。
あー、なんか、久々にこいつの顔凝視したかも。と思う。
俺もノートとろう。
目を黒板に移すと、ノートに理科センの字を写し始めることにした。
五限目が終わって、隣の席のヤツにも「ありがとな」と
一応お礼を言ってから席を立つ。
「ん」と素っ気ない返事をした後、
さらさらの髪をなびかせながら廊下に
ぱたぱたと走って行った。
「りゅーうー」
透き通った、アイツより幾分高い声。
ゆっくり振り返ると理沙がニコニコして立っていた。
「なーに?」
山田に見せた笑顔の3分の1くらいの笑みを作る。
理沙はキャメル色のカーディガンから細い指だけを出して、
やっぱり可愛く笑う。
「あんね、龍って彼女おん?」
「…なんで?」
「いや、なんとなくやけ、あんま気にせんで」
赤く頬を染めながら聞いてくるのは、少し可愛い。
「おらんけど」
「へーそうなん?」
「え、何?俺に気でもある?」
冗談めかして聞いてやると、さあーね、と笑った。
なるほど最近の女は妙に積極的だなと思う。
理沙は明るくて、顔も可愛くて、男子からの人気もある。
それでも理沙を好きになることはないだろう。
ちょっとだけ、昔付き合っていたヤツのことを思い浮かべたから。
そいつは俺をフった後も
教室の真ん中で一番目立つ女子のグループの中で、
キャメル色のカーディガンから指だけを覗かせて、
短いスカートの中から白い足を覗かせて、
綺麗な顔で大人しめに笑っている。
そういえば理沙もちょっと前まであのグループに居たのに、
今は山田と一緒に居ることが多い気はする。
まあ女子のいざこざに突っ込む気はないのだが。
「あんがとねー」
理沙は最後ににかっと笑うと、
栗色の長い髪を揺らしながら廊下へ駆けていった。
「龍たーんお暇でーすか?」
次に後ろから飛びついてきたのは空斗だ。
とりあえず10分休みの孤独から逃れるため、
俺は作った笑みを貼り付けて空斗の頭を叩く。
「なーに東京弁つかっとんねん、気持ち悪ぅー」
「うっせ、お前の顔面の方がキモいわ」
空斗の言葉に返す言葉が見つから
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