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偽典 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第7章 終わりの始まり
第肆話 ゾーマ城
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がって」
テルルは俺の指示に従って。
「いくぞ!」
「はい!」
俺は、MPの節約のため、まどうしの杖をもったセレンに指示を出す。
「上手くいったな」
俺は、壊れた壁から進入して、右側をみてつぶやいた。
その先には、下へと続く階段が見える。
「さあ、いくぞ」
俺は、振り返り、仲間に指示を出す。
「・・・・・・そうだな」
「はい」
「なんで、知っているの?」
「は?」
「だって、こんなこと知らないとできないわよ」
「まあ、耳をすまして空洞があることを確認したからね」
俺は、うそぶく。
そして、歩みを進める前に、後ろを確認する。
その先には、タンタルの言うとおり、川があるはずだ。
その上にある橋を渡れば、モンスターが待ちかまえたはずだ。
キングヒドラと呼ばれるそれは、かなり強力なモンスターだった。
あの勇者オルテガを倒した力を持っている。
だから、戦うことを回避した。
まあ、後で戦うことになるかもしれないが。
「・・・・・・」
俺の回想が終わるころには、暗闇に慣れたのか、こちらに向かう大きな物体を確認することができた。
そして、物体が祭壇のすぐそばまで到着すると、周囲のに火が灯り、正体が明らかとなった。
その姿は、巨体をマントで身にまとい、胸に骸骨の首飾りを身につけ、頭には二本の角と巨大な目玉がついている。
青い顔は、邪悪に満ちていて、視線の先にある俺たちを哀れで脆弱な生物のように眺めていた。
「大魔王か」
俺は、ゆっくりとつぶやいた。
「アーベルよ!
我が生け贄の祭壇によくぞきた!」
大魔王は俺の名前を何故か知っているようだった。
どこかの街に、スパイでもいたのだろうか?
もしかしたら、バラモスを撃退したときに、覚えられたかもしれない。
「我こそはすべてを滅ぼすもの!
すべての生命を我が生け贄とし、絶望で世界を覆い尽くしてやろう!」
死んでしまったら、絶望する事は出来ないと思ったが、死んだまま魂がとどまることもあったな。
「アーベルよ我が生け贄となれい!」
わざわざ、ここまで待つとは、お疲れさまです。
「出でよ、我がしもべ!
こやつらを滅ぼしその苦しみを我にささげよ!」
そうか、自分の手を汚さないで、遠くから高見の見物か。
そう考えながら、俺は武器を持ち身構えた。
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