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さんすくみっ
第一部
第二幕 畜生部活に入る
第二幕 畜生部活に入る
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いや、負けだよ。もっと大切な何かでお前の負けだよ。なんでシンキングタイムゼロであんなことができんだよ。クラスの連中ドン引きだったじゃねえか。もっと自分を大切にしようぜ?
 言った手前断ることも出来ずに、渋々俺は例の部室へ行くハメになった。
「つか、この学園って合唱部とかあるんだろ? なんでお前はあんなブラック臭のする部活に入ってるんだよ?」
「ケロ。私もあの部活に助けられたんです。それで私もこんなことができたらなあって思ったんです」
 ……そんなことをしてたら、年中誰かに助けられていそうなお前は、一人何役するってんだよ。
「……なあ?」
「ケロ? 何ですか?」
「お前の好きな『歌』も『詩』だったりするのか?」
「ケロ?」
 胃袋女は首を傾げる。どうやら質問の方法を間違えたらしい。
「あー、『歌』には、意味やら心やら詰まってるのかってことだ」
「ケロ。当然ですよ。むしろ、それがなければ『歌』ではありません」
「……ああ、そうかい」
 そうこう言っているうちに、俺たちはあの地獄の門の前に辿り着いた。

 可能な限り部室内で呼吸をしない。

 それが俺の出した結論だ。
 濃硝酸だかフッ化水素だか知らんが、体内に入れなければ最悪のことは起こらないはずだ。
「なあ? ちょっと深呼吸を──」
「失礼しまーす!」
「深呼吸をぉおおおおおお!」
 俺の雄叫び虚しく開いたドア。
 中にいたのは、相変わらず分厚い本を読んでいるナメクジ……あと、誰だあいつ?
 その見覚えのない男子生徒の特徴を一言で言えば、出っ歯である。
 もう、それは関西人からしてみたら羨むような立派な出っ歯を持った男子だった。きっと、漫才の掴みネタにするには十分だろう。
「やあ。ケロちゃんとミーくんじゃな…………ミーくんは、そのアクロバッティングな体制で何をやっているんだい?」
 うるさいナメクジ喋りかけるな。毒の濃度が上が…………ん?
「ちょっと待て」
 なんで、てめェがその呼び方を知ってるクソナメクジ。
「フフ。ボクはテレパシーとか使えるからね」
「マジでか!?」
 『いただきます』のおばちゃん達といい、ナメクジといい、実は人間の世界にはテレパシーが使える奴らで溢れているとでも言うのか。
「まあ嘘だけどね」
「ピキッ」
 殺してぇ。脳みそとかぐちょぐちょにしてぇ。でも毒こぇえええええええ。
「ケロちゃんからメール貰ったのさ。ああ、ちなみにボクのことはヌーちゃん、もしくはヌーさんでいいよ」
 いや、語呂が悪い。つかヌーちゃんって、元々の名前なんなんだよ?
「ケ、ケロ。わ、わたしはケロちゃんでいいですよ?」
「…………」
 俺はゆっくりと隣でオドオドとする女を見る。
「ケロ?」
「お前は胃袋女だ」
「酷すぎる!?」
 いや
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