ありのままの自分を
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っていたが、気には留めなかった。
幽霊と出会い、別れを繰り返しながら、今に至る。
明は天井を見上げながらハ〜っとため息をつく。
自分の気持ちに気付いてはいる。あの出会いの夜から。
しかし。自分には結婚しなければいけない男がいる。
今までは避けてこられてが、いつかは会わなければいけないのだろう。
このことはまだ彼には話してない。
麗から、促されるときはあるが、彼の反応がどうなるか怖くて、言えない。
そもそも、彼は、自分のことをどう思っているのだろう。
もう、彼と出会って半年になる。しかし、なんの進展もない日々が続く。
明は胸の中にモヤモヤを抱えて、考えにふけっていた。
そこでドアをノックする音がした。「どうぞ」と答える。
「・・・あの〜。もしかして寝てました?」
「・・・・!」
流石に今まで考えていた彼が出てくるとドキッとせずにはいられない。
「いいえ、寝ていませんでしたよ」
やっとのことでそう答える。
「散歩の時間、いつもより十分もオーバーしてますけど、何かありました?」
そうだった。そろそろ毎日の日課の散歩だった。
いつもは時間きっかりに正門の前で集合する明なので、宏助が怪しむのも無理はない。
考え事をしている間に、どうやら時間を過ぎていたようだ。
「すみません。遅れちゃって。少し考え事してて・・・。今行くので、ちょっと待ってください」
明がそう起き上がったところで。
「・・・・・!」
「・・え?どうかしました?」
宏助が明の顔を凝視する。何か恥ずかしい・・・。
「あの〜?」
「・・・・・あ、いや。何でもないです、すみません」
そういって宏助は明から視線をそらす。
しかし、ややあって、
「明さん、今からどこかへ出かけません?」
「・・・・・へ?」
突然謎のことを言い始めた。
「あの、どういうことですか?」
頭に疑問符を浮かべる明だが、
「何があったか知りませんけど。気持ちが暗いときはパーッと騒ぐのが一番ですよ!」
「・・・・・!」
次の瞬間謎が解凍した。
宏助が見てたのは自分の泣いた跡だったのだ。彼ならそれを見つけることが出来る。
「やっぱり明さんも普通にそうやって楽しむべきですよ。位とか、家とか関係なく。
明さんは・・・・・・」
そこで宏助は言いよどむ。どうしたのだろうと思うが、宏助の顔は見る見る内に赤く染まっていって、
「明さんは・・・普通にしてればただの綺麗な女性なんですから!
もっと普通にしてていいんです。そっちの方が可愛いです」
「・・・・・・!」
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