ありのままの自分を
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れていた。
父は明が物心ついたときから、仕事をして、財産を護る、という考えしかない人だった。
だから、明が勉強でいい成績をとると褒めてくれてるが、明のそこしか父は見ていなかった。
非情に厳格で、よく幼い頃に殴られた。
幽霊と会話していると、「死者と話して何が楽しい!」と怒鳴られた。
そんなときによく庇ってくれたのが、優しい母だった。
母にはよく甘えた。母は自分の全てを、ありのままを見てくれていた。
そう・・・・母が死ぬまでは。
母の死因は、急性の心臓発作だった。朝、女中が起こしにいったら亡くなっていたという。
その数日後、壮大な葬式が行われた。
親戚が、同情の言葉を掛けてくれるが、あくまでそれは上辺だけの社交麗辞に過ぎなかった。
確かに、もう自分が生まれている時点で、神条家直系の女が死のうと、さして問題では無かった。
それが、ひしひしと伝わってきて、明は途中で葬式を抜け出した。
それからだ。父が更に厳格になったのは。
もう母さんがいないのだから、勉強し、賢くなり、立派に当主を支えられる女になれ!
そう毎日のように似たようなことを言われた。
明の許婚も、その日からやたらと明に会いに来るようになった。
母上の死は、僕も大変遺憾に思うよ、とかなんとか言って。明に気持ちも知らずに。
上辺だけは明を愛しているように見せても、明を自分の未来のための土台と見ていることは明確だった。
結局、母が死んでから、誰もありのままの自分を見てくれる人がいなくなった。
そして、母が死んでから半年後、明は親しかったSP数十名を連れ、父のいる本邸から別居した。
父や許婚、親戚諸々から反対されたが、自分の手持ちの金は、既に多くあった。
母が、自分の口座にちょくちょく振り込んだ金だった。
結局、自分の金で何処かに住める、ということが明確になると、父は渋々別居を許可した。
明は使われなくなっている別荘に住んでも良いと許可され、家賃や維持費などは私が負担すると、言っていた。
別居してからは、流石に許婚も来なくなった。
勉強は麗がいるから問題ない。時々出かけては幽霊と出会い、成仏させる日々を送っていた。
時々、本邸で開かれる舞踏会などに参加しなければならなかった。
許婚からの熱烈なアプローチや、親戚からの「引き篭もり」という冷たい視線が嫌で嫌でたまらなかった。
結局いつも途中で離脱した。
父とは別居してから話してない。
母の墓に行くときも、舞踏会のときも挨拶なしだ。
家族や親戚を避けながらそうやって今まで過ごしてきた。
親戚が自分のことについてよくない噂をしているのは知
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