第四章
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ではないが教師というのは本当に視野が狭い人間が時々いる。中には人間性も疑わしい者までいる。これはどの社会でもそうかも知れないが閉鎖的な社会ではそうした人物が多いように思える。俺はたまたま学校でそうした教師を見てきたからそう思うだけかも知れないが。
「台湾だってそれは一緒だったわ」
「そうなんだ」
「ええ、最近までね。国民党だったから」
「ああ、成程」
これは少し聞いたことがある。何でもかなり酷いことをやっていたらしい。
「もう終わったけれどね。それでもお父さんやお母さんの頃は酷かったらしいわ」
そう語る彼女の目に怒気が漂った。
「私はそうした二人に小さい頃から勉強しろ、勉強しろと言われてきたのよ」
「色々あったみたいだね」
「台湾では何かを言うのにも学歴が必要だから」
「本当に極端だね」
「日本じゃそこまでいかないでしょ」
「まあ」
大卒が何かにつけて有利なのは事実だがそこまではいかないと思う。高校、いや中学卒業でも言える人間はちゃんと言う。俺の友人でもそうだ。
「そこはいいと思うわ。私も今まで勉強ばかりだったから」
「それで今ここに来れたんだね」
「あっ、そうね」
それを聞いて以外そうな顔をした。
「そういう考えもあるわね」
「うん」
「で、今ここを歩いていられると」
「そうそう」
「そう考えると不思議ね。何か気が楽になってきちゃった」
何か急に日本語が上手くなったように感じた。いや、本音を出したからだろうか。
言葉よりも本音を出した方がいいのだろうか。
「ねえ、よかったら」
「うん」
「ここ案内して。あまり来たことなくて詳しくないのよ」
「いいの、僕で」
「折角だからね。貴方もそのつもりで私を誘ったんでしょ?」
「ご名答」
やはり鋭い。ここまで手の内を読まれているとは。
「けれどいいわ。乗るわ、そのお誘い」
「乗るの」
「そうよ。お願いね」
「わかったよ」
といってもここは案内するには注意が必要だ。少し出ればホテル街がある。幾ら何でもそんなところを見せるわけにはいかない。風俗も多い。よくよく考えればこんな場所を子供の頃から遊び場にしていた俺も俺だ。
とりあえずは腹ごしらえをすることにした。スパゲティの店に入った。チェーン店で味は一定している。特に量が多いことで有名な店だ。
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