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正義と悪徳の狭間で
導入編
麻帆良編
導入編 第5-M話 繰り返す者
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校時代の写真でも彼女はアレを着けていたな。

「いえ…事情は把握しました。失礼ですが外して頂けますか?一応規則ですので」

確かにアレは容姿を認識阻害と幻影魔法を併用しているから、認識阻害分をレジストしたせいで違和感を感じたのだろう。

「初回はそうだったな…ほら、これで良いな」
女性がネックレスを外すとその姿はあっという間に、データベースの写真そのままの10才位の少女になった。

やはり、魔法世界の金持ちの子供向けの成長アクセサリーだった。
これは成長度合いが調整ができる高価な代物だが、完全にオーダーメイド品なのでかなり値が張る。
年齢幅やその調整できる度合い、それにアクセサリーそのものの価値にもよるが、1年単位の10〜20歳のまでで数万ドルは必要だった筈…まあ組織や稼ぎのいい人間な

ら買えないものではない。
魔法世界なら検問なんかで一発でばれる代物なので玩具以上の価値はないが、逆に地球の一般人相手に成長しない事を誤魔化すには素上がりでいい手段だと思う。

「ありがとうございます、確認いたしました。こちらが今回の荷物です、ご確認ください」

そう言って亜空間倉庫から封のされた箱と受け取りのサインをしてもらう紙を取り出して机に置く。

マクダウェル博士が手を動かすと何か、おそらく糸がきらめいて箱と紙を彼女の元へと運ぶ。
…やはりか、封印されているはずの現状でも、この状態ではとてもかなわない…まあ、戦う必要もない相手ではあるが。

彼女は箱の封印符に触れ、魔術的な錠を外すと箱を開け、中から紙を一枚取り出し、中身を確認している。

「確かに荷は受け取った、ご苦労だったな」

そういいながら受け取りのサインをし、また糸術で私に返してくれた。これで仕事はおしまいだ。

「それでは失礼します、マクダウェル博士」
「そんなに急がんでもいいだろう、少し世間話に付き合え」

いつの間にか先ほどのメイドがティーセットとイチゴのタルトを持って来ているのに気が付いた、それも二人分。

「あの、申し訳ありませんが、友人との約束がありますので…」
「ほう?何者だ?あの街からこちらにやってきてすぐに友人ができるとも思えんが」
その確証はきっとアイシャの時の実体験だろう、内戦中のアフガンから直接ここに来たはずだから。

「いえ、以前から親交のあった友人がこの街の住人だったとわかったので案内を頼もうと思った次第で…」
蛇ににらまれた還る所の話ではない、差しさわりがない範囲で機嫌を損ねないようにするべきだ。
「…龍宮コウキの所のマナ・アルカナか?確かあいつと親交があったはずだな」
かなり確信を持っているようだ…ならば誤魔化す意味はない。
「よくおわかりで…配達が終わり次第合流しようという話になっています」

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