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二章
無知、未知
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「イーリス」
目の前の緑色の髪をした、どこかぼやーっとした様子の彼女はたっぷり間を置いてからそう答えた。
この子、なんで名前を名乗るのにあんなに時間をかけたんだろう?
警戒、してる?
うーん…、そういう感じでも無いし…。
それにしても、イーリス、か。
「いい名前だね!」
イーリス、今まで聞いたことのない、けれど、惹かれる名前。
とても心に浸透する名前だ。
濡れたような瞳。心許ないような、か弱い身体と、庇護欲を掻き立てるような頼りない肩。
可愛いなぁ、と。そう思った。
バンエルティア号に戻れば可愛いとか、綺麗っていう人はいるけれど、みんながみんな違う可愛いと綺麗で、この子もまた、そういうみんなとは違う可愛いの女の子。
ジッとわたしを見つめるその琥珀色の瞳。
ふるふると震え、頼られているような、そんな気持ちになる。
「ねぇ」
それを振り切り、聞きたいことを思い出す。
絞り出してそれを聞いた。
「ここら辺で光、すごく強い光だったんだけど、見なかった?」
「……?」
顕著な反応はなかったけれど、傾げた首でなんとなくわかった。
きっとこの子は知らない。
そりゃそうか。この子は眠っていたもんね。
少し落胆したけど、笑ってそっか、と言った。
ここら辺だと思ったんだけどなぁ…。
むしろこの子が光を放ってたり?
なんて思ってしまう。
見間違いじゃ無ければ、この子はわたしがここに到達するギリギリの瞬間まで、光に包まれて宙に浮いていた気がしたから。
勿論そんなことはありえないけど。
もしかしたら、という希望がわたしの胸にはためく。
ひらひらと、諦め悪くそんなことを考える。
魔法だったら、そういうのもあるんじゃないか、って。
わたしの知らないことの方がこの世界には多い。
そうでしょう?と、自分の希望じゃない部分に聞いてみる。
「あなたは、魔法を使えるの?」
「……?…わかんない、かな」
「え?」
「ここ、どこ…?」
「えっと、ルバーブ連山っていう、ダンジョン地区だよ?」
「ダンジョン地区…、ってなに?」
「えっ?」
この子、まさか…。
「えっと、ダンジョン地区っていうのは、ギルド連盟っていうとこの人達が認定してる、『ここを一般人が交通するのに護衛がいたほうがいいよ』っていう危険地に指定してる場所だよ?」
「そうなの?ここ、危ないの?」
「うん。ちょっとね?あなたは、ここにどうやってきたの?」
「わかんない」
やっぱり。
最後のは確認の質問だったんだけど。
この子は、きっと記憶が欠損してる。
「名前以外に、わかることは?」
「……?」
少し悩むような仕草で空を見る。
手を太ももに挟んで、じっくり考える。
というより、ぼ
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