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REVOLUTION 2007
第三章
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ものだったのよ」
「それも違うんだ」
 話を聞いていてかなり不思議だった。全然違うのがわかる。
 そしてだ。お袋はさらに言ってきた。
「皆気付いていなくても変わっていくものなのよ」
「気付いていなくてもなんだ」
「そういうものよ。あんたが生きている間にもどんどん変わるわよ」
「実感ないけれど」
 僕は腕を組んで考える顔になっていた。
「それって」
「けれど変わるものよ。注意して見ていればわかったりするわよ」
「本当かな」
 僕はそのことがかなり信じられなかった。けれどだった。
 次の日に学校に行くとだ。ツレの一人が自分の携帯を見せていた。そのうえで明るい顔で皆に対して言っているのが見えた。
「この携帯凄いだろ」
「ああ、新型かよ」
「新型買ったんだな」
「これ凄いぜ。もうこれまでのとは全然性能が違うんだよ」
 こう皆に話していた。自分の席に座りながら。
「無料ですぐにネットにつなぎ放題でフルカラーでしかも使用料金かなり安いしな。しかも他の機能だってな」
「へえ、そんなにか」
「そんなにいいのかよ」
「ああ、携帯のこれからはこれが主流だろうな」100
 こう皆に話していた。
「絶対にな」
「そうなるのか」
「これからは」
「ああ、とにかく凄いんだからな」
 こんな話をしているのを聞いた。それを聞いて昨日のお袋の言葉を思い出していた。
「変わっていってるのかな、世の中も」
 そう思っているとだった。女の子達の話も聞こえてきた。何か新しいアイドルの話をしている。
「これからのファッションってこの子みたいな感じよね」
「そうそう、可愛いわよね」
「奇麗にしてね」
「もうこんな感じでね」
 何か昔はルーズソックスをはいていた娘もいた。今は黒いハイソックスだ。
 その他の娘を見てもだ。何か格好がちょっと前とは違っていたりする。よく見てみるとそうしたところが結構変わっていってるのに気付いた。
「こういうことなんだな」
 ここでやっと僕もわかった。
「世の中って。静かに革命っていうのが続いているんだな」
 フランス革命とかロシア革命とかじゃなくてだ。世の中は徐々にだけれど常に変わっていっていることに今やっと気付いたのだった。
「そういうことなんだ」
 昨日のお袋の話を思い出しながらだった。僕も机に座って新しいボールペンを出した。それはこれまでのよりもずっと使いやすくてインクの色もよかった。二〇〇七年、今じゃもう昔の話だ。あの時の携帯もボールペンも今じゃ旧型であのアイドルのファッションも変わった。お袋のメニューはまた新しい食材が入った。


REVOLUTION 2007   完


                  2010・5・10

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