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ソードアートオンライン 赤いプレイヤーの日常
四話〜提示〜
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は早く返したほうがいいだろう。
 俺は、無意識に頭を掻きながら、ティーナに言った。

「ティーナ、悪いけどそういうことだからさ、先にアルゴに会ってきてもいいか?終わったらすぐそっちに合流するから。まあ、俺が合流するまでやってればの話だけど――」

「あの、キリトさん?」

 俺の長台詞に嫌気がさしたわけではないだろうが、突然、ティーナが声を上げた。しんとなった空気の中、おずおずといったふうに口を開く。

「その、アルゴさんというのはどういうお方なんですか?」

「……あ、そっか。ティーナちゃん、あの人のこと知らないんだ……えっとね」

 尋ねられたのは俺だったはずだが、アスナはそんなことは全く意に介さないらしい。明るい解説が店内に響く。

「《鼠》って呼ばれてる女性で、情報屋をしてる人よ。色々知っててすごく頼りになるんだけど、『《鼠》と五分雑談すると百コル分のネタを抜かれる』っていううわさもあるくらい、プライバシーはないんだよね。私も、前にアルゴさんからレストランの情報買ったときなんか、ひどい目にあったわ……でも、根はすごくいい人だし、信用もできるから、ティーナちゃんも一度会ってみるといいよ」

 よくもこんなに長々とした文章をぱっと思いつくものだ。ソロプレイヤーで国語の苦手な俺には一生できない芸当だろう。
 というようなことをティーナも思ったわけではないだろうが、彼女は少しうつむき加減に考えるそぶりを見せた後、何かを決したようにうなづいた。

「そうですね。それなら、そのアルゴさんにも話を聞いてみましょう。もしかしたら何かご存知かもしれませんし」

 確かに、アルゴのことだし、もしかしたら何か知っているかもしれない。知っていなくても、事情を知れば、協力すると言うだろう。だが――

「……いいのか?アスナも言ってたけど、アルゴは売れる情報なら何でも売るっていうスタイルだ。解決するまでは口止めできるとしても、その後は……」

「血盟騎士団の隠蔽として糾弾されるかもしれませんね」

 いつも以上にはっきりとした調子で、ティーナは言う。

「でも、だからと言って、死武王をこのまま野放しにはできません。それに、今なら敵は死武王一人です。《ラフィン・コフィン》のようなPK集団になる前になんとか倒さなければ……」

 脳裏にあの時の戦いが蘇る。そうだ。ティーナの言うとおりだ。二度とあんな光景は見たくない。称号など気にしている場合ではないのだ。

「そうだな。その通りだ。ごめん、俺、変なこと言った」

 無性に申し訳なくなり、俺は小さく頭を下げた。そんな俺に、ティーナは何を言うでもなく、微笑みかけてくれた。それが妙に頼もしく、つられて俺も顔をほころばせようとした、その時、

「それじゃあ決まりね。
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