暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 赤いプレイヤーの日常
四話〜提示〜
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内容が薄いのか。なぜ、こんなにも量が少ないのか。答えは簡単だ。
情報を集める行為が危険だから。あるいは、情報屋自体が危険だから。
 前者の危険を取る情報屋はまだいい。隠れつつオレンジの後をつけるなり、治安維持に積極的な軍とのコネクションで探りを入れるなりしているなら、少なくともこちらの敵ではないからだ。
問題なのは後者。『情報屋自体が危険な場合』。すなわち、『情報屋自身がオレンジプレイヤーと内通している場合』。
 この場合、もちろんこちらの情報は全部相手に筒抜けになるわけで、最悪、騙されて待ち伏せポイントまで誘導され……という可能性もある。
 故にその、カゲロウことトウラ氏が前者の情報屋であることを切実に願うのではあるが――

「仮にもしそういう事態になったとしても、このメンツなら問題ないさ。なんせあのトップギルド、『血盟騎士団』のメンバーが三人もいるんだし……」

「しかもそのうち一人はサブリーダーで『閃光』の異名を持つアスナさんですしね」

 と、ティーナが早口で付け加える。
 正直に言うと「キリトさん。ご自分のこと忘れてますよ」的なツッコミを期待していたのだが――あ、いや、なんでもない。

「そ、それを言うならティーナちゃんもだよ!この間の迷宮区、すごかったじゃないあの刀さばき!」

 と、即座にアスナのフォローが飛ぶ。

「へ、へえ、カタナ使うのか、ティーナは」

 内心がっくりしながらそう呟いた俺は、これ以上むなしさが込み上げてくる前にこの話題を切り離すことを決心し、多少強引ながらも軌道修正にかかった。

「ところでさ、その『トウラ』ってやつ、さっきティーナが呼んでおいたって言ってたけど……もしかしてここに来るのか?それとも、どっかで待ち合わせてるとか?」

 無理矢理作った微笑とともにそう言った途端、ティーナが「あっ」という声を漏らした。それとほぼ同時に、彼女の目が右上、時計が表示されていると思しき位置まで動く。時間を確認するわずかな間の後、短いため息と共に肩をなでおろした。

「すいません、待ち合わせです。二時ごろに二十一層の転移門前でお会いすることになっています」

 『二時ごろ』と言われて俺より早く時計を目に捉えたらしいアスナが、上向きの視線のまま、それに答える。

「んーと、今が一時半くらいだから、あと三十分かぁ……そろそろ出たほうがいいかもね。ここから転移門ってけっこう遠いし――」

「お、おいおい、『遠いし』って、もしかして歩くつもりなのか?あの道を?」

 冗談だろと顔を上げた俺にアスナが小首をかしげる。

「あたりまえじゃない。他にどうやって行くのよ」

 ――絶句した――

 呆れというかなんというか、返す言葉が見つからない。
 そんな俺の沈黙を異
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