暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 赤いプレイヤーの日常
四話〜提示〜
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ーなんだ?ふつう逆じゃないのか?」

「なんでって……キリトさんだからですよ」

 ――いや、だからどういうことなんだ。

 という言葉が口に出る前に、ため息一つしてジト目を向けてきたティーナが

「キリトさん。カノジョさんに何かあったらいやでしょう?」

 と言った。
 もうなにがなにやらだ。
 おまけにアスナなんかは、顔を真っ赤にしながら「か……か……かの……」なんて口をぱくぱくさせている。ティーナのほうは、某有名RPGなら、『ようすをうかがっている』の文字が出てきそうな体だ。
 とはいえ、このまま『わかりません』で片付けてしまうのは性分ではない。
 俺は、数分前の会話を脳内メモリから根性で引っ張り出し、わずか数十秒であらゆる可能性をニューロンの許す最高速で検証。その結果、なんとか合点の行く答案を見つけ出すことに成功し、(こぶし)をてのひらにぽんと当てた。

「あ、もしかしてあいつが来たりするのか?うわさで聞いたコスプレ情報屋。たしか、おっさんが九十年代にはやった美少女戦士だかなんだかのかっこうしてるっていう……」

 と言いつつ、そんなおっさんの姿を想像――しようとしたのだが、

「あの方なら一週間ほど前に軍の方々が拘束したそうですよ。私の記憶では、意味不明な言動で、我々の行動を著しく妨害したため拘束した、とあったはずです」

 本日何度目かわからないティーナの即答。ただし今回は笑顔ではなく呆れ顔。切り捨てられた感が否めないところを見るに、おそらく不正解だったのだろう。
 大体、こんなことわかるわけがないんだ、という負け惜しみは心のタンスに押し込んでおき、俺はまいったと肩をすくめてみせると、なにやら言いたそうなティーナに視線を送った。

「あの……キリトさん。まさかとは思いますけど……もしかしてそれだけですか?」

「……と言うと?」

 俺としては至極当然の反応をしたつもりだったが、どうやら彼女にとってはそうではないらしい。しばし固まった後、いまだ陸に上がった魚状態のアスナをちらと見、ぐいっと顔を寄せてくると、ごく小さな声で耳打ちしてきた。

「ほら、『カノジョさん』とか……」

「……ああ、そうか!女なんだな、その情報屋ってのが!」

 などと言ってみるが、当然、見当はずれだということはわかっている。ティーナの目の色がまったくもって変わっていないのだ。むしろ失望の類のものが増している気がする。

「キリトさん……冗談ではないんですよね?」

「え?なにが?」

 先の倍以上の難易度と思われる問題に、解答用紙を求め素直に首を傾ける。
 そのななめ十五度ほどの傾きをどう捕らえたのかは知らないが、ティーナは呆れ顔から一転して哀れむような目でこちらを見据えると、すぐ視線を
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