第一章
再会
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起立、礼、と日直のハキハキとした声を聞きHRが始まった。
担任は滝川と言って授業では体育担当の大男だ。柔道部の顧問だったっけか。
その滝川先生は野太い声で伝達事項を挙げていく。大体俺には関係ない話なのでこの時間は結構退屈だ。
「伝達は以上だ――――」
え? いつもより少し早いな。どうしたんだ? いつもならHR時間ぎりぎりまで話をするのに……。
「今日はもう一つ言うことがある。転入生がうちのクラスに編入されることになった。……入ってこい、夏目」
そうすると一人の女子が教室に入ってきた。その女子はなぜか和服を着ていて……って
「うそ……今朝の……?」
思わず席を立って声をあげてしまった。
「あら? ああ、ここの人だったの。不思議な運命ね」
彼女も俺に気づいたみたいだ。夏目っていうのか。
すると右隣からちょんちょん、と肩を突かれた。幼馴染の健太だ。
「なにカナタ、お前あの美人さんと知り合いなのかよ」
「いや、今朝ぶつかって……はないか、ぶつかりかけた人だ」
「なんだそれ」
俺もわかんね、と適当に答えておいた。
そんなやりとりをしている内に夏目の自己紹介が始まった。
「初めまして、私は夏目春香と言います。親の急な転勤で東京に来ました。いくら制服が無い自由な学校だからってわざわざ着物なんか着てるんだと思ってる人もいると思うので言っておくと、趣味です。普通に着物が好きなだけです、深い意味はありません」
穏やかな笑みを浮かべている。クラスのみんなが少しざわつく。主に男子は「綺麗な人だな!」とか「清楚〜」とか「二次元には勝てないな、これが三次の限界さ」のような(最後のは何なんだ?)外見に関することで話している。女子は「和服似合ってる〜」みたいなファッション系のことで盛り上がっている。聞いてる限りでは一部のよく分からない男子を除いて概ね好印象なようだ。
「ほい、そこらで少しだまれ」
滝川先生の言葉で静まる。この先生、口調が厳しいわけではないのだが重みがあるというか、威厳があるので逆らえないのだ。
「ええっと夏目の席は……雪村の左隣が空いているな。そこに座りなさい」
はい、と夏目は返事をしてこちらへ歩いてくる。
「俺の隣だよ夏目さん。今朝は自己紹介し損ねたけれど、俺、雪村カナタって言うんだ。よろしくな」
「ええ、よろしく。分からないことがあったら聞いてもいいかしら? 隣だし」
「ああ、俺なら全然構わないぞ。これもなんかの縁だ」
「ありがとう」
ふっと夏目の表情が柔らかくなる。
その顔はまだどこか幼さを残している。
大人びた顔つきをしているから、そういう笑顔をみると親近感が湧いた。
「お、俺、小宮健太って言うんだ!
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