第三章
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第三章
「それならね」
「そういうことでね。それじゃあ」
「はい、皆さんのサイン下さい」
「いいってよ」
俺は仲間達に向けて述べた。
「俺達全員のサインでな」
「そうか、それなら」
「俺もな」
「俺も」
「僕も」
仲間達も頷いてくれた。それも笑顔でだ。そうしてであった。
七人全員でサインをしてだ。女の子に渡した。
「これでいいよね」
「有り難うございます」
ファンの女の子はにこにことしていた。俺だけじゃなく七人全員のサインを貰えたことがとにかく嬉しいらしい。それでだというのだ。
そしてだ。女の子はまた言ってきた。
「七人全員のサインが揃うって滅多にないですから」
「滅多にない」
「そうかな」
「いや、普通にあるよな」
「違ったか?」
これは俺もだった。言われてみても実感がない。俺達は今までずっと一緒のつもりだった。しかしそうではないというのである。
「それは」
「気付いたらそうしたらいいんじゃないのか?」
こう言ったのはノッポだった。
「七人全員でのサインを基本にしたらな」
「それでいいか」
髭はそれを聞いてまずは安心した顔で頷いた。
「それなら」
「それなら?」
「それでか」
「後は」
「これをずっとやっていかないか?」
こう六人に話した。
「七人全員のサインを基本にな」
「つまりあれだよね」
弟が最初に言ってきた。俺の言葉に気付いてくれた。
「俺達はこれからもずっと七人でね」
「ああ、バンドをやってくんだよ」
俺はここで思わずにやりとなった。そのうえでの言葉だった。
「いいな、七人全員でな」
「それでか」
「それでバンドをやってくんだな」
「ああ、そうさ」
俺はここでまたにやりと笑った。自分でもそれがわかる。
「それでどうだよ」
「つまりあれだよね」
今度は色白が言ってきた。
「虹だよね。七人だから」
「ああ、そうだな」
「七人だから七色」
「虹だよな」
他のメンバーもそれに気付いた。そのことにだ。
「俺達はつまり虹だよ」
「虹は一色欠けても虹じゃない」
「そういうことだな」
「そうだよ。だからずっと七人でな」
俺はまた話した。
「やっていこうぜ。いいな」
「ああ、わかったぜ」
「それじゃあな」
「七人でな」
皆も笑顔になっていた。そのうえでの言葉だった。
「サインも七人」
「バンドも七人」
「何かをするのはいつも七人だ」
「俺達はいつも一緒だぜ」
そう思うとだった。こんなに有り難く頼りになることだった。一人でいるよりも七人でいればだ。それだけでもう充分過ぎる程有り難かった。
そしてだ。またサインを欲しいという娘が来た。
「あの」
「ああ、サインだよね」
「はい、御願いし
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