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さんすくみっ
第一部
第一幕 畜生中学生になる
第一幕 畜生中学生になる
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 突然、その場が硬直した。なるほど……図星か。
 考えてみりゃ、俺も畜生時代は幾度となく、バカなメスに奇襲されたものだ。メスからしてみりゃ、オスのことをよく知りたい、また、オスからしてみれば、ライバルのことについて知りたい。それは当然のことだ。女関係の質問もあったしな。
 脳みそがデカくても考えることは畜生も人間も変わらないということらしい。
「宣言しておくが、俺はお前らと子供を作る気はさらさらない。だから安心してくれて構わ……あれ?」
 気がつくと、俺の周りには人っ子一人いなくなっていた。なんで?

「早速ボッチか」
「うるせえゴリラ」
 あれから昼休みになったが、結局俺に喋ってくる奴は、このゴリラくらいという現状だ。
 授業というのは結構楽しかった。
 脳の使い方を学ぶのは、こんなに充実していることだとは。
 ちなみに、あの女は結局胃袋が元に戻らなくなって保健室に行った。……何だろう、この罪悪感。
「私は教師というのは、余程のことがない限り生徒同士の人間関係に首を突っ込むものではないと考えている」
「そりゃご立派」
「でも、流石にこれは酷い。……お前、クラスメイトに何を言った?」
「別に。質問に親切丁寧に答えて、あとは図星を突いたら、ミステリーサークルができただけだ」
「図星?」
「お前らただ交尾したいだけの脳みそスカスカ野郎だろ? つっただけだ」
「…………はぁ」
 ゴリラは大きく溜息をつく。対面だと臭いからやめてほしい。
「センチメンタルな年頃の子達に何を言うんだ、お前は」
「センチメートル? 全員がメートルくらいの身長はあると思うが」
「センチメンタルだ」
 なんだよ、センチメンタルって。なんの単位だ。
「だから私は言ったのだ。あと一年は人の社会を学ばせてから、合流させるべきだと」
「一年もあんな退屈なビデオ見てられるかよ」
 俺が人間になったあと、まず三ヶ月ほどかけて歩く書くなどの人間特有の動作の練習をした。それに加えて見た、頭の悪そうな子供が頭の悪いことをしてる『教育番組』なるものを延々と見せられた。知識の補充的な意味があったのだろうが、最初の頃は学べるものも多少あったが、一月を越えると見るのが苦痛にしかならなかった。
「これからどうするか、また考えにゃならんな。はあ。腹も減ってきたし、昼飯にでもするか」
「バナナか?」
「……飯食い終わったら、もう少し話をしないとならんな」
 そう言ってゴリラは、意外にもまともな弁当箱を取り出した。……ば、バナナが無いだと!?
「お前も食えや」
「あ、ああ」
 大丈夫なのだろうか。
 ゴリラはバナナを食わなければ死ぬのではなかろうか。
 こんなところでゴリラの屍体を作られたら誰が埋めるのだろうかと、気が気でなかったが、自分から死ぬほど、
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