第一部
第一幕 畜生中学生になる
第一幕 畜生中学生になる
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、とりあえずそれは別に大きな問題ではない。
知識があれば思考ができる。
俺はあの男が何をしたのかを考えた。
少なくとも、人間というのには(ごく一部の調理法を除いては)俺の『元』仲間を食べるという思考はないらしい。加えて、あいつは俺のパートナーを素晴らしい色だと表現した。
俺は首に巻いているマフラーという長い布を見る。
こいつは化学繊維というやつで、よくわからんものをよくわからん行程で、よくわからん加工をしたものらしい。特にこれは防寒的役割を持っており、お陰で俺はこうやって行動できており(無かったら死ぬ)、多大なる恩恵を受けている。
だが、人間が身につける衣類というものの中には、生物の毛や、皮膚を使ったものがあるとか。
「………………」
答えはわかった。
わかったけどわからなかった。
わかりたくもなかった。
人間になった日、俺は人間が嫌いになった。
まだ朝会とやらが始まるまで結構時間があるらしい。さすがに座って待つのもかったるいので、適当に散歩をすることにした。
「面倒は起こすなよ?」
「生まれてから、面倒事の類に巻き込まれたことはあっても、巻き込んだことはねーよ」
俺が人間になったのだってそうだ。『呪い』だとかなんとか言っていたが、正直今でもわけわからん。
わからないことというのは、わかるための思考力、もしくはそもそもの材料が足りないことであり、これは明らかに後者だ。無知な俺がどんだけ頭を悩ませても真実を導くことはほぼ不可能なので、考えることすらしなかった。
散歩をすると言っても、そんなに遠くへ行こうとは思わない。少なくとも外に出る気は更々なかった。理由は単純、寒すぎるからだ。
「ほんと、人間っておかしいだろ。なんでこんな気温で走り回れるんだよ」
窓の外では、俺と同じくらいの(といっても年齢の概念がかなり違うので一概にこの表現が正しいとは言えないのだろうが)生徒たちが極寒の外で犬よろしくなはしゃぎっぷりを披露していた。おかしいだろ? 馬鹿なんじゃね?
「…………はは。まあ、今や俺もそのおかしな連中の仲間入りってわけなんだけどね」
一体どこで何を間違えたからこうなったのだろう。あれかな? ラジオ体操とかやらなかったからかな。あれ面倒なんだよね。
そんな馬鹿なことを考えていると、
「てぇのひらをたいよーにー」
「ん?」
後ろの方から、何やら声が聞こえた。それも、ただの声ではない。何かの複雑な規則に合わせて、音の高低等を変化させながら、声を出してる。
「…………よし」
別に行く当てもないし、ちょっと行ってみるか。
歩いて数十秒もしない部屋に、そいつはいた。
「ミミズだーって、オケラだーって、アメンボだぁって」
そいつは耳に若葉色の大きなヘッドホンを
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