予想だにしない人2
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テーブルにはすでに運ばれてきている肉をヒカルはトングで金網に移動していく。反対側にいる越智も焼く係に回っていた。
「ちょっと、佐為があんなにイケメンなんて聞いてないわよ」
「そんなこと僕に言われても困るよ」
奈瀬は越智に耳打ちをするが、越智は軽くあしらう。
「大体進藤には謎が多すぎるんだ。ついていけないよ」
二人とも佐為とは初対面だった。想像していた人物とは全くかけ離れていて最初は本当にびっくりした。
「それより奈瀬、門脇さんに気をつけたほうがいいんじゃないの」
「え」
奈瀬は反対側の端っこにいる門脇に目をやった。始めからどんどん飲んでいる。さーっと血の気が引いた。
「まあ今は忘れなよ」と言って越智は奈瀬の皿に牛タンを置いてあげる。言ったのはあんたでしょうが。奈瀬は溜め息をついた。
「佐為、どんどん食えよ」
「はい、でもヒカル、自分も食べてくださいね」
ヒカルは別皿に焼けた肉を移していく。
「・・・進藤尽くしてるわね」
「僕もそう思う」
「・・・しかし今年もいろいろあったな」
越智の隣の和谷が感慨深げに呟いた。
「そうよね。北斗杯・・・石橋棋聖の誕生・・・緒方先生の本因坊タイトル奪取」
「来年の北斗杯は絶対選手入りしてやる。進藤、覚悟してろよっ」
「残念。俺もっと強くなってるからな」
「なんだとこのやろう」
ヒカルと和谷のやりとりに緒方は溜め息をつく。
「やれやれ、伊角も大変だな」
「緒方先生それどういう意味!?」
噛みついたヒカルに緒方は「くっくっく」といつもの笑い方をする。
「そのままの意味だ」
「緒方先生、俺も入れてないよな?」
和谷は越智に助け舟を求めるが、「入ってるよ」とばっさり言い捨てられた。
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