第二章
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第二章
それで困ってだ。僕は仲間達に提案した。
「外に出ないか?」
「外か」
「外にか」
「このまま部屋の中にいても煮詰まるだけだしさ」
こう言った。
「それでだからさ」
「そうか、そうだよな」
「それじゃあな」
「とりあえず外に出るか」
「そうするか」
仲間達もそのことに頷いてくれた。そうしてだった。
街に出た。街は何処もかしこもクリスマス一色だった。クリスマスソングが奏でられツリーが飾られ店は何処もクリスマス商品で一杯だ。
サンタさんがいてカップルがにこにことしている。僕達がその街に出た時は夜だった。夜になると余計にその賑やかさと灯りが目立つ。
「妬けるねえ」
「全くだな」
「彼女がいてもな」
「それでもな」
七人で口々に苦笑いして話す。彼女がいてもそれでも男ばかりだとだ。自然とそうした感情になってしまうのは仕方がなかった。
そしてその中でだ。僕はそうしたものを見ながら皆に話した。
「ハッピーなものだよな」
「ああ、そうした曲にしような」
またリーダーが答えてきた。
「それは言ったよな」
「ああ」
「それでな。ヒントはあったか?」
リーダーは今度は自分から僕に問うてきた。
「それで。あるか?」
「それがなあ」
「ないか」
「ヒントは一杯転がってるんだけれどさ」
僕は首を捻りながら話した。
「それでも。どうにも」
「浮かばないか」
「ちょっとね。もうちょっと歩くかい?」
「そうだな」
「そうする?」
ノッポと色白が僕の提案に頷いてくれた。
「とにかく曲は作らないといけないしな」
「だからな」
「だからね。まあ絶対に曲は作るよ」
作詞担当としてその責任は持っていた。無責任でないつもりだ。
「待っていてくれよ」
「そうしてよね」
「作曲はこっちでするから」
細目と弟も言ってきた。実は作曲はまだ決まっていない。僕達のグループでは作曲はリーダーか色白、ノッポ、弟がする。たまに細目もする。作曲は本当に持ち回りみたいな感じになっている。
「とにかく作詞はね」
「兄ちゃんしかいないし」
「わかってるさ。とにかくさ」
夜のクリスマスの街中を見回す。クリスマスソングとツリーとネオンの中でカップルがにこにことしている。その中でだった。
僕は見つけた。その一組のカップルを。
「んっ?」
「どうした?」
髭が僕の言葉に気付いて問い返した。
「あったか?ヒント」
「ああ、あった」
実際にそうだと答えた僕だった。見ればだ。
そのカップルは変わっていた。何故か傘をさしている。今は雨じゃない。
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