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《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
ピエロ
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んじゃねぇか?」
思考の袋小路に入り込んでいたダインは、その声にビクッと肩を震わせた。半年以上《ガンゲイル・オンライン》をプレイしている人間なら誰でも知ってる不吉な名前を聞きとったからだ。
「あり得ない..... 引退したって噂だろう。あの仮面だってどっかの偽物が真似してるだけだ!」
自分に言い聞かせるようにダインは言った。狂ったように心臓が脈打つ。
《ガンゲイル・オンライン》で最強のプレイヤーは《ゼクシード》か《闇風》。この定説が全プレイヤーに浸透して久しいが、それはあくまでバレット・オブ・バレッツと呼ばれる大会の結果の話だ。
もっとシビアで予測のつかないオープンマップ。そこで間違いなく《最凶》だったプレイヤーがいた。
《殺し屋ピエロ》のメイソン。
物騒な通りなで恐れられていた彼は、はっきり言うなら戦闘狂だった。もっぱらPKを好み、そこら辺を歩いているプレイヤーに見境なく襲いかかる。無論はじめはそこまで注目されるプレイヤーではなかった。PKが珍しいことではなかったのもそうだが、被害にあったプレイヤーは誰も奴の姿をハッキリと捉えられなかったからだ。
赤いプレイヤーがPKをしている。酒場で噂されるのはそんな霞がかかったような話ばかり。そう、ちょうど最近流行りの《死銃》のような感じだ。
そこに転機があったとすれば、大規模スコードロンのメンバー15人が餌食にされた時だろう。その時メンバーははっきりと言ったのだ「ピエロの仮面を被った1人のプレイヤーに全滅させられた」と
同盟を組んでいたスコードロンは一斉に報復戦に乗り出した。中にはバレット・オブ・バレッツで好成績を収めたプレイヤーもいたらしいが、結果は思わしくない。返り討ちといケースも珍しくなかった。
パーティを組んでも勝てるか分からない、狂った道化師。
いつしかプレイヤーの間で彼は一種の伝説となり、ついに《殺し屋ピエロ》なる名前を頂戴することとなったのだ。
それが半年前の話。最近は誰もその姿を見ていないが、今になって自分達の目の前に現れるなどという冗談はない。ーーそのはずだ。
もはや願望である思考に終止符を打とうとした瞬間、体を赤い《着弾予測線》が撫でる。「伏せろ!」と叫んで隠れる余裕があったことにダインは自分で驚いた。
タララララッ!
金属の鳴き声に身をすくめるが早いか、真上のコンクリートが弾けバラバラとダイン達の頭に降り注ぐ。脊髄反射で銃口を向ける彼らを嘲笑うように《ピエロ》が戦場を舞った。遊ばれている、という認識が仮想の体に冷や汗を流させる。
ほんの刹那、彼と目が合った。仮面に張り付いた不気味な笑みがひたすらに恐ろしい。
ーー本物かもしれない。
ダインは不意に体が震え出すのを感じた。
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